「所有している家を貸したいので管理会社に依頼したい」と、考えている人は多いのではないでしょうか。賃貸経営において、管理会社の選択は将来の収益を大きく左右する重要なポイントです。適切な管理会社を選ぶことで、安定した収入を確保しながら、資産価値を維持・向上させられます。
一方で、依頼する管理会社選びに失敗すると、入居者との予期せぬトラブルや収益の低下を招く可能性があります。本記事では、管理会社の探し方から選ぶ際のポイント、契約までの流れ、管理会社の役割などを詳しく解説します。
家を貸したいと思った際には、以下の3つの方法で賃貸管理会社を探してみましょう。
探し方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
金融機関に聞いてみる | ・信頼度の高い管理会社を紹介してもらえる可能性がある | ・すべての金融機関が管理会社を紹介できるわけではない |
一括査定サイトを活用する | ・簡単な物件情報の入力だけで、複数の管理会社から提案を受けられるので、比較検討がしやすい |
・しつこい営業電話がかかってくる可能性がある ・希望通りの管理会社に出会えるとは限らない |
全国展開している賃貸管理会社に直接相談する |
・知名度や信頼性が高く、集客力が期待できる ・24時間体制のトラブル対応や定期的な点検など管理サービスが充実している |
・地域特性に応じた柔軟な対応が難しい場合がある |
もっともおすすめなのは、全国展開している賃貸管理会社に直接相談する方法です。ここでは、それぞれの探し方の特徴を詳しく解説します。
物件購入時に融資を受けている人は、借入している金融機関の担当者に相談することで、管理会社を紹介してもらえる可能性があります。金融機関も融資の返済を確実にするために、物件からの安定した収入確保を実現したいと考えます。そのため、実績のある賃貸管理会社を紹介してくれる可能性は高いです。
特に地域に根付いている地方銀行は、地元の不動産市場に精通しており、エリアの特性を理解した上で適切な管理会社を紹介してもらえることが期待できます。ただし、すべての金融機関が管理会社を紹介できるわけではないため、難しい場合は別の方法を検討しましょう。
一括査定サイトは、簡単な物件情報(住所・建物の種類・戸数など)を入力するだけで、複数の管理会社から提案を受けられる便利なサービスです。エリアごとの相場目安を把握しやすく、各社のサービス内容や料金体系を比較検討できる点が魅力です。
ただし、サイトごとに参加している不動産会社が異なるので、自身の希望にあった会社に出会えない可能性があります。また、提案を受けたあとの営業電話に煩わしさを感じるケースもあります。
なお、一括査定といえども結果がまとめて届くわけではないため、自ら個別に賃貸管理会社へ賃料査定を申し込むのと変わりません。信頼できる賃貸管理会社をじっくりと探すのであれば、一括査定サイトではなく自ら不動産会社を調べるのがおすすめです。
Web検索やテレビCM、掲載広告などから、自ら大手の賃貸管理会社に相談する方法です。多くの会社がWebサイトで詳細情報を公開しているので、管理料金やサービス内容を確認した上で無料相談や査定を依頼できます。
大手の賃貸管理会社は、知名度と信頼性が高いことから、入居希望者からの問い合わせも多く期待できます。また、豊富な広告予算と複数の集客チャネルを持っていることも多く、空室を効率的に埋めることが可能です。
さらに、24時間体制で入居者からの緊急連絡や設備トラブルに対応できたり、充実した管理サービスにより定期的な建物点検や設備の保守管理などを任せられたりします。
一方で、地域特性に応じた柔軟な対応が難しい場合もあります。選定の際は、会社の規模や実績だけでなく、実際に対応する担当者の経験や提案力、地域での評判なども判断材料にしましょう。
賃貸管理会社を選ぶ際のポイントは、以下の5つです。
それぞれ詳しく解説します。
管理実績は、会社の信頼性をはかる際の重要な指標です。管理実績の数値に明確な基準はありませんが「全国賃貸住宅新聞」によると、2024年の管理戸数ランキングでは、10万戸以上を管理している会社がランキング10入りしています。管理戸数が多い会社であれば、入居者の募集や突然のトラブル対応などの仕組みが整っており、大切な自宅を安心して任せられる可能性が高いです。
また、家賃収入を大きく左右する要素の1つに入居率が挙げられます。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によると、2022年度の首都圏における委託管理物件の平均入居率は約94%です。この数字を下回る管理会社の場合、集客力や物件管理能力に課題を抱えている可能性があります。
入居率の維持向上に向けた具体的な取り組みや成功事例を持っているかどうかも、選定の重要な判断材料となるでしょう。
管理手数料は賃貸経営における重要なコストであり、なるべく下げたいと考える人が多いですが、単純な安さだけで判断しないようにしましょう。
手数料の相場は家賃収入の5~12%程度で、各社のサービス内容の違いが手数料率に影響します。手数料が低い場合、緊急対応や定期点検の頻度が限られたり、入居者対応の範囲が狭かったりする可能性があります。また、設備故障時の対応や入居者のクレーム対応など、物件オーナーが自ら負担する業務が増える可能性が高いです。
一方で、手数料が高くなるほどオーナーにかかる負担が少なくなり保証も充実する傾向があります。そのため複数の管理会社に話を聞き、業務内容やオーナーの負担、リスクに対する保証などを比較検討しましょう。
入居者の満足度を高め、長期的な賃貸を促すためには、充実したサポート体制が欠かせません。理想は24時間電話対応や、メール・アプリでのサポートのある会社です。いつでも連絡が取れる24時間のサポート体制があることで、入居者の安心につながります。
水漏れや設備故障などの生活に直結するトラブルは、夜間や休日にも発生する可能性があります。迅速な対応ができない場合、入居者の不満が蓄積して早期退去につながるリスクが高まるでしょう。
管理会社によっては専門のコールセンターを設置し、経験豊富なスタッフが常時待機する体制を整えています。また問題が発生した際に、すみやかに状況確認をして、オーナーまで報告をしてくれるかも重要なポイントです。
特に遠方に住むオーナーや、本業の傍ら賃貸経営を行っている方は迅速に対応するのが難しいです。また、そもそも海外赴任者で一時的に家を貸し出している場合は、物理的な距離や時差の関係から自分でトラブル対応できません。
そのため、トラブル対応や交渉を任せられる管理会社を選びましょう。賃貸物件のトラブルは深夜の水漏れや騒音問題のほか、家賃滞納・無断退去などさまざまです。こうしたトラブルの解決には、専門的な知識と経験、迅速な対応力が欠かせません。
実際のケースでは、隣室への水漏れが発生し被害を受けた入居者から損害賠償を求められる事態も起こり得ます。トラブルが発生した際に、管理会社の対応が遅れたり不適切であったりすると問題が複雑化してしまい、オーナーが大きな損失を被る可能性があります。優良な管理会社は、トラブル発生時の対応マニュアルが整備されており、オーナーに代わって適切な判断と対応を行えます。
賃貸契約の方法は、物件の収益性や将来的な活用計画に大きく影響します。主な契約方法は「普通借家契約」と「定期借家契約(リロケーション)」の2つです。
普通借家契約は、契約更新が原則として認められており、安定した長期の賃貸経営が期待できます。一方、定期借家契約では契約期間を定め、期間満了とともに契約が終了します。すべての管理会社がそれぞれの契約方法に慣れているわけではないため、自身が希望する契約方法に対応しているか事前に確認しましょう。
信頼できる不動産会社の選び方に関して、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
賃貸管理会社と契約するまでの流れは、以下のとおりです。
管理会社を探す際には、まずは複数の管理会社に賃料査定を依頼しましょう。一括査定サイトを活用するのが手軽ですが、信頼できる会社を見つけるためにも自ら探して直接依頼するのがおすすめです。なぜなら、一括査定サイトでは質の高い提案を得られず、期待通りの会社に出会えない可能性があるからです。また一括査定であっても、連絡は各社から個別にきます。
賃料査定を依頼する際は、物件の立地や築年数・設備の状態など、詳細情報を提供する必要があります。結果的に、より確な賃料査定と具体的な管理プランの提案を受けることが可能です。各社の提案内容を比較する際は、提示された賃料査定だけでなく、賃料設定の根拠や空室リスクへの具体策、担当者の対応力なども考慮しましょう。
委託する管理会社を絞り込めたら、以下のような管理業務の詳細な内容について確認します。
細かな点まで明確にしておくことで、トラブルの未然防止につながります。疑問点や不明点がある場合は、すべて質問して契約前に解決しておきましょう。
持ち家を実際に貸し出す際の手順や注意点に関して、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。
家を貸す際の管理会社の役割は、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
管理会社は、入居者からの「水漏れが起きている」「部屋の周りから異臭がする」などのクレームやトラブルに対応します。クレームやトラブルの対応は時間や曜日を問わず発生し、不満を抱えている状態での問い合わせが多いです。そのため管理会社の担当者は、まずは入居者の話を聞き状況を理解した上で、適切な対応が求められます。
管理会社によっては24時間体制のコールセンターを設置し、経験豊富なスタッフが常時対応にあたります。また、定期的な設備点検や清掃管理を通じて、トラブルの発生防止にも力を入れています。
賃貸管理会社はオーナーに代わって、家賃や敷金・共益費などの金銭の受け取り、指定口座への入金を行います。万が一、家賃の滞納が発生した場合には、早期に状況を把握し、借主に連絡し支払いを促すのも管理会社の仕事です。
借主が家賃保証会社に入ることも多く、家賃滞納があった場合には家賃保証会社から賃料が振り込まれます。毎月の収支報告書を作成し、入金状況や経費の詳細を報告してくれる管理会社もあります。
宅地建物取引業免許を持つ管理会社は、入居者募集から契約締結までの一連の業務を担当できます。入居希望者探しでは、市場動向を踏まえた適正な賃料設定や効果的な広告戦略の立案、内見対応、入居審査などを行います。また、競合物件が多い地域で管理会社の担当者に求められるのは、物件の魅力を最大限に引き出す提案力です。
入居審査では家賃支払い能力や入居目的の確認を徹底し、将来的なトラブルリスクの軽減を図ります。契約手続きにおいても、重要事項の説明から契約書の作成まで法令に則った適切な対応が求められます。
賃貸管理会社の業務内容について、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
管理会社に依頼する際は、不動産管理に関する委託契約を結ぶ必要があります。具体的には、以下の2つの契約形態があります。
それぞれ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
管理委託契約は、オーナーが賃貸経営の主体となりながら、日常的な管理業務を管理会社に任せる契約形態です。家賃収入の5~12%程度の管理手数料を支払うことで、賃貸管理に関する専門的なサービスを受けられます。
特に本業の傍ら賃貸経営をする方には、この契約形態が適しています。物件の維持管理から入居者対応まで、煩雑な業務を専門家に委託することで、限られた時間のなかでも効率的な経営が可能です。
また、管理委託契約を通して賃貸不動産管理のプロに任せることで、適切なタイミングでの修繕提案や計画的な設備更新により、物件の価値を長期的に保ちます。入居者とのコミュニケーションも管理会社が担当するため、クレームやトラブルへの対応も円滑になります。
サブリースは、賃貸管理会社が物件を一括して借り上げ、入居者への転貸を行う契約形態です。オーナーのメリットは、管理委託契約よりもさらに自身の管理負担を軽減できる点です。
賃貸管理会社が契約当事者となり、家賃滞納者に対しての家賃督促や明け渡し訴訟等の法律行為も行えます。また、入居者とのトラブル対応や法的手続きなども、管理会社が責任を持って対応します。
特に、転勤などで遠方に住むことになった人や相続で取得した物件の管理が難しい方には、サブリースが有効な選択肢と言えるでしょう。ただし、手厚いサービスの対価として、通常の管理委託契約よりやや高額な手数料が発生します。
また、契約期間中は管理会社の運営方針に従う必要があり、オーナーの意向が反映しにくい面もあります。契約内容や条件を十分に理解し、長期的な収支計画を立てた上で判断することが重要です。
サブリース契約に関するより詳しい内容は、以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
家を貸したい人に管理会社をおすすめする理由は、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
賃貸不動産管理では以下のような膨大な業務があり、手間と時間がかかります。
しかし、管理会社に委託し家賃収入の5~12%程度の手数料を支払うことで、煩雑な管理業務の大半を任せることが可能です。
また、管理会社のプロフェッショナルな対応により入居者の満足度が高まり、長期入居の促進にもつながるでしょう。自主管理にかかる時間と労力、そして潜在的なリスクを考えると、管理手数料を払ってでも委託する価値は十分にあると言えます。
入居者探しや契約の締結は専門性が必要であり、後々のトラブルを防止するためにも、賃貸管理会社に依頼するのがおすすめです。
宅地建物取引業免許を持つ管理会社であれば、物件管理と入居者募集を一括して依頼できます。また、不動産ポータルサイトへの掲載に加え、内見対応や入居審査・契約締結まで、専門的な知識と経験が必要な業務を任せることが可能です。
管理会社は単なる業務の代行者ではなく、賃貸経営の良きアドバイザーとしての役割も果たします。例えば、収益性の向上や長期的な資産価値の維持など、オーナーの様々な課題に対して、実践的なアドバイスを提供してくれます。
特に家賃設定は、不動産のプロが周辺相場や市場動向を踏まえて提案してもらえるので、賃貸収入の最大化につながるでしょう。修繕計画の策定や設備投資の提案など、中長期的な視点からの助言も安定した経営に欠かせません。
また、法改正や税制の変更など、賃貸経営に影響を与える情報もタイムリーに提供してくれます。経験豊富な管理会社との密なコミュニケーションにより、時代の変化に対応した柔軟な不動産経営の戦略を構築できます。
賃貸管理の手数料の相場に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
家を貸したい人は、管理手数料の金額やサービス内容、サポート体制の充実度などを考慮して、管理会社を選びましょう。適切な管理会社を選ぶことで、安定した収入を確保しながら、物件の資産価値を維持・向上させることが可能となります。注目すべきポイントは、24時間体制の充実したサポート体制とトラブル対応の実績です。
予期せぬ事態が発生した際の迅速な対応は、入居者の満足度を大きく左右し、物件の収益性にも影響します。また、宅地建物取引業免許を持つ管理会社であれば、入居者募集から契約締結まで一貫して行えるため、オーナーは効率よく賃貸不動産経営を行うことが可能になるでしょう。
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