現在住んでいる自宅を賃貸しようと考えている方にとって気がかりなのは、賃貸に出した際の収入と、手数料をはじめとした諸費用が、それぞれいくらくらいになるかということでしょう。そこで今回は「賃貸でかかる費用」について、賃貸管理会社に支払う手数料の話を中心に説明します。
また、転勤時の賃貸とそれ以外の賃貸では事情が異なるため、転勤中に家を貸す場合にかけるべき費用についても、最後に少しだけお伝えします。
持ち家を賃貸に出す際、賃貸管理会社などへ支払う費用や手数料にどのようなものがあるかご存知でしょうか?
家を貸す前は「家賃をどれくらいにするか」「家賃収入がどれくらい期待できるか」こうしたことを先に思い浮かべがちですが、家を貸すには手数料などの諸費用がかかります。これらを念頭に入れた上で貸し出しを始めなければ、せっかく賃貸を始めても思ったような成果が得られなくなってしまいます。
ここでは持ち家を賃貸に出すときにかかる費用について、そして手数料の相場についても解説していきます。
家を貸すときには、サービスを利用するための手数料などいくつかの費用が発生します。
管理会社に委託する場合の月々の手数料をはじめ、家賃収入を得ることで発生する税金などの費用があります。家賃設定をする際には、これら費用のことも考慮に入れて賃料を決めることが大切です。
こちらでは、家を貸す際に発生する手数料等の費用について解説します。
賃貸管理会社に賃貸管理業務を委託する場合には毎月手数料を支払わなければなりません。委託する業務や契約の形態、貸し出す物件などによって手数料には大きなばらつきがありますが、一般的な相場は家賃に対して5~10%前後でしょう。たとえば10万円の家賃の物件で手数料が5%の場合は、毎月家賃から5千円の手数料を差し引いた金額が入金されます。
なお、賃貸管理手数料は家賃から差し引かれるため入居者募集中などで空室の場合は、手数料の支払いも不要である場合が多いです。
火災保険料は多くの方が家を購入された際に加入していますが、賃貸を行う場合は「施設賠償責任保険」への加入も検討しましょう。
施設賠償責任保険は、賃貸中の物件の設備によって入居者がけがをした場合や、建物の外壁が落下して通行中の車を傷つけてしまったときなどのための保険です。加入しておくことで万一の際に賠償金・修理費・事故発生時にかかった費用(応急手当等)・裁判等で必要となる費用を補填できます。
家を賃貸して賃料収入を得ると不動産所得として所得税・住民税が課税されます。所得税については源泉徴収が行われる場合があり、海外赴任時の賃貸では、還付申告すると還付を受けることが可能です。
より高額な賃料を得るためにあえて支払う費用です。家をうまく貸し出すためには、単に設備が壊れたら直す、という以上の費用がかかります。「入居者を得やすくする」「周辺の家賃相場より高い賃料でも納得してもらう」「入居者に長く住んでもらう」こうした目的のために、業者によるハウスクリーニングが基本的な処置として行われ、大小のリフォームが必要に応じて行われます。
退去時には退去査定が行われ、建物・施設の原状回復費として入居者に請求できる費用もあります。しかし、経年による畳の摩耗やフローリングの色落ち、家具設置による凹みなどの劣化については借主への請求が認められません。
基本的には、「貸している期間は、普通の生活をしている分の消耗はする」という考えの元、それ以外の部分が支払われるので、自分が住むためや、再度誰かに貸すために、元通りやそれ以上の状態まで直そうと思うと、その分の費用は貸主の負担になります。「普通の生活をしている分の消耗」とは、「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」のことです。「通常の使用」は人によってバラつきがあるものなので、国土交通省で基準を定めたガイドラインがあります。
この基準をもとに「誰が住んでも、これくらいは消耗する」という範囲を超えた修繕費は貸主負担になります。
分譲マンションを貸す場合は、管理組合員として共有部や共有のサービスを資産として守っていくために、部屋ごとに決められた費用を支払っていることと思います。管理費や修繕積立金はマンションを持つことで空室でもかかるランニングコストで賃貸中にも発生します。
他にも家の貸し借りに関わらず、家の所有に伴って発生する費用は「火災保険料」「修繕費(付属設備、機械装置、器具備品など)」「固定資産税・都市計画税」などがあります。
賃貸管理に関する手数料の中に「仲介手数料」と呼ばれるものがあります。
仲介手数料は、賃貸借契約を結ぶ際に貸主と借主の間に入る不動産仲介会社に対して、取引成立の対価として支払われる手数料です。
ただし、賃貸管理会社に管理を委託する場合、貸主はこの費用を支払わないことが一般的です。賃貸管理会社に物件管理を委託せず自身で賃貸管理を行い、入居者の募集のみを仲介会社に委託する場合は、支払いを要することがありますが、賃貸管理会社に賃貸運営の全般を委託する場合は、不動産仲介会社とのやり取りもサービスの中に含まれていることが一般的です。
当社「リロの留守宅管理」の場合、仲介手数料はありません。賃貸管理においても、お客様に合わせた最適なプランを提案し、満足のいくサポートをしています。家を貸す際の費用を詳しく知りたい場合、下記のフォームからお気軽にご相談ください。
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賃貸管理会社に支払う費用は、行われる管理業務と賃貸中に保証される内容によって変わります。
賃貸管理の手数料は会社やサービスごとに異なります。さらに言えば、管理方法によっても相場に差が出ます。賃貸管理サービスを利用するにあたって、どの管理方法を採るかによって、どういうことが起きたときに、その発生したリスクを貸主・賃貸管理会社のどちらがどれくらい負うのかということが変わってきます。
大きく分けると「管理委託」と呼ばれるものと「転貸借(てんたいしゃく)」と呼ばれる二つの管理方法があります。賃貸管理サービスを利用するにあたって、どの管理方法にするかによって発生したリスクを貸主、管理会社(借主)のどちらが、どれ位負担するかで変わります。管理方法について解説していきます。
「管理委託」は一般的な賃貸物件に多く用いられており、物件の賃貸管理業務を不動産管理会社が代行します。手数料相場は転貸借の場合に比べて安価となる傾向があります。
「転貸借(=サブリース)」は、管理会社が所有者の物件を借り上げて、入居者へ貸し出す方式です。サブリースと聞くと、賃貸中の収入が減る代わりに空室時にも一定の収入が得られるサービスというイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし実際には、転貸借(=サブリース)であれば、必ず空室時に家賃保証がある訳ではありません。リロケーション(転勤期間中の留守宅の賃貸管理)では、転貸借を用いることが多いですが、空室時の家賃保証を伴うサブリースとは異なります。賃貸管理サービスにおいて、転貸の場合の手数料は管理委託より高くなりやすいです。利益が小さくなる代わりに、手間やリスクを軽減できるメリットがあります。
管理業務を「代行」するのみの管理委託と異なり、転貸借では家の所有者と賃貸管理会社との間で賃貸借契約が結ばれます。そして、賃貸管理会社が入居者と賃貸借契約を結ぶことで、賃貸管理会社は家の所有者に対しては借主であると同時に、入居者に対しては貸主にもなり、賃貸管理会社は物件所有者の直接の借主、入居者の直接の貸主となるのです。転貸借のサービスを利用した場合、賃貸管理会社は賃貸を行う当事者となります。
賃貸の当事者となることで、発生したトラブルへの対応など、賃貸管理業務における賃貸管理会社の責任や役割は増えることとなります。転貸借で契約を行うことで、貸主のリスクは軽減され、転勤時でも安全に賃貸経営を行えるようになります。
室内設備の故障など、賃貸中には何かしらのトラブルが発生してしまうことがあります。賃貸管理会社の多くは、トラブルに対して「何かあったとき」のための保証をサービスとして取り揃えています。
手数料等の費用は、提供を受けられる保証が多いほど高くなります。
手数料は賃貸運営に伴う業務への対価として支払われることが主なので、賃貸管理会社によって遂行される業務の質や量、業務範囲で変わりますが、利用できるサービスには、賃貸中に起こった問題への保証サービスもあり、保証がより手厚いサービスを利用した場合には料金もより高額になります。
保証サービスは、標準的なサービスとして賃貸管理サービスで利用するプランの中に含まれている場合もあれば、オプションとして追加できる場合もあります。費用と見比べながら必要な保証を揃えていきましょう。
保証サービスが多ければ安心して賃貸運営を続けられますが、費用は増えてしまいます。一方で、費用を抑制するために保証が少ない状態で賃貸をすればより多くのリスクに晒されてしまいます。賃貸のリスクの中には高い頻度が見込まれるもの、発生時の損失が大きいものがあります。それらをどれだけカバーできるかによって、費用に違いが存在しています。
賃貸管理手数料は管理方法や保証サービスの充実度合いによって変わります。そうしたサービスの違いを知るためには、まずどのようなサービスがあるかを知らなければなりません。複数の管理会社に問い合わせてみるのが最も早くサービスを知る方法です。
賃貸管理会社によっては大きなリスクを肩代わりするような保証サービスを提供していないこともありますが、リロケーション(転勤中に限定した留守宅管理)にも強い管理会社は、貸主が転勤終了後に再居住することから「万が一に備えた安全な賃貸運営」をしたいニーズが強く、保証サービスやオプションの種類が豊富です。一方、投資目的の場合は、貸主は自己居住せず家賃収入での利益の最大化を求めているため、保証サービスのニーズは少ない傾向にあります。
弊社はリロケーションに強い管理会社のため保証サービスを多く用意しておりますが、目的にあわせて必要な保証サービスを付加した賃貸プランをご用意し、お客様に最適なプランをご案内いたします。賃貸市場では取り扱いの少ない、一軒家の賃貸事例も豊富です。家を貸すときの具体的な手数料や費用が気になる場合は、下記の査定フォームからお気軽にお問合せください。賃料の目安とあわせて手数料などの費用が分かれば大まかな手取りが分かり、家を貸す際のイメージも明確になるでしょう。
リロケーションなどの賃貸管理のサービスを利用することで、オーナーは賃貸運営上必要となる業務の一部、またはほとんど全てを委託し、賃貸運営の手間を省くことができます。
委託できる業務は賃貸管理会社と契約した内容によって異なりますが、受けられるサービスには大きく「入居者募集」と「入居中の管理」と「解約・精算」の3つです。募集や管理に加え、入居者が出るときの解約・精算時も賃貸管理会社が間に入り、新たな入居者の募集、あるいはオーナーが自宅へ戻るまでをサポートします。
ここでは、賃貸管理サービスを利用した場合に、およそどのようなサービスが提供されるかを詳しく説明していきます。
入居者募集について貸主が受けられるサービスは次のようなものがあります。
① 貸し出す予定の物件を確認し、類似物件や周辺物件の実績などを参考に、一般的な条件における想定賃料がいくらからいくらくらいになるかが見積もられます。想定賃料を確認するためには「賃料査定」を行います。
② 賃料以外に関する入居者募集の条件、契約の種類や貸し出し期間、リフォーム実施の有無や予算などについて、賃貸管理会社との共有が行われます。賃貸管理会社からは、それら希望を踏まえて、最初にいくらくらいの賃料で募集を開始するのが良さそうかという提案がなされ、実際の募集条件のすり合わせが行われます。
③ 募集条件が決まると広告掲載用に物件の撮影が行われ、物件の情報や募集の条件を載せた物件広告が作られます。修繕やハウスクリーニングが必要な場合には見積もりや業者の手配もなされます。作られた広告はポータルサイトや不動産仲介会社のウェブサイト等、各社が持つネットワーク上で掲載され、入居者募集が開始されます。
④ 入居希望者からの申し込みを受け付けて、入居希望者の審査が行われます。
⑤ 審査通過、オーナーの同意を経て、金銭の授受、鍵の引き渡し、重要事項説明、賃貸借契約の締結といったことが行われます。物件については、解約時や契約中のトラブルに備えて貸し出し前の状態が動画撮影などで記録されます。
入居者との間で必要なやり取りについて、月々の家賃の集金・オーナーへの送金、賃貸中に起こったトラブルへの対応といったことが行われます。入居者からの相談や苦情といった問い合わせ、急な設備故障のトラブルなどにも対応してもらえます。
たとえば、入居者から設備故障の連絡を受けた際には、まずは状況を聴取し、緊急性の高さや誰の費用負担になるかといったことが判断されます。費用がかかる場合は見積金額が算出され、オーナーへの報告、修理業者や交換品・代替品の手配、これらトラブル解決に向けた一連の対応が代行されます。賃貸管理会社が間に立つようになることで、オーナーは入居者に直接対応をしなくてよくなります。転勤などで遠方に住んでいる場合でも安心して賃貸運営を行えるようになります。
解約に関する手続きも賃貸管理会社によって行われます。事前に撮影した入居前の状況をもとに賃貸期間中に物件が受けた損傷が調査され、修繕に必要な費用の見積もり、入居者負担となる原状回復費用の算出及び請求といった解約に向けての精算手続きが行われます。賃貸終了後に自分が住む場合や、次の入居者募集を見据えたリフォーム工事の相談にも応じてもらえます。
最後に、転勤に伴って将来的に戻ってくる自宅を賃貸する場合について、リロケーションサービスと呼ばれる賃貸管理サービスについて解説します。
リロケーションサービスは、自分の住む持ち家があるにも関わらず転勤になってしまったとき、転勤期間中の留守宅を資産として守りつつ、住宅ローンや転居先の家賃といった支出の悩みを「期間限定の賃貸管理」という方法で解消しようという目的で生み出されたサービスです。
不動産に投資して、いかに収益を生み出すかという投資目的向けに設計された賃貸管理サービスとは異なり「安心・安全優先で家を貸し、帰任時にあわせて無事に戻りたい」というニーズを優先したサービス設計になっています。賃貸経営の手間削減・リスク抑制を目的に、オーナーに代わって賃貸管理会社が借主に対応するとともに、豊富な保証サービスを揃えていることも特徴です。
前述した賃貸借契約に関していえば、帰任後を見込んで「普通借家契約」以外の契約が用いられることが一般的です。リロケーションを積極的に取り扱っている会社は、一般的な不動産賃貸に用いられる普通借家契約を多く扱っている会社と比較して、転勤などで家を貸すオーナーの契約サポートに慣れているとも言えます。
転勤中の賃貸では、一般的な賃貸で用いられる普通借家契約とは異なるご自宅を一時的に離れる間、貸し出したいときに利用される一時使用賃貸借契約が最適でしょう。普通借家契約以外の契約としては、将来的に売却を検討している等の事情で賃貸期間を限定したい場合に利用される定期借家契約もあります。
一時使用賃貸借契約は貸主から解約を申し出るときに求められる正当事由が不要となり、契約期間の満了、もしくはあらかじめ定めた条件を満たすことによって契約を終了できます。そのため、これらの契約には明け渡し時のトラブルなどを避けられるというメリットがあります。一時使用賃貸借契約では一定条件のもとオーナー側から解約を申し出ることができるため、転勤終了時にあわせて自宅へ戻ることが可能です。
賃貸経営で高収入を目指すのであれば、管理会社に支払う手数料が小さくて済むサービスを利用する、あるいは賃貸管理会社を使わないという選択肢も存在します。しかしそうした場合、貸主は管理業務が発生します。賃貸経営に慣れていればともかく、初めて自宅を貸す人にとって問題なく賃貸管理を行うのは難しいでしょう。
特に転勤で家を貸すといった場合には、リロケーションサービスで提供される細やかなサポートが重要です。海外などの遠方に発つ人であれば、その重要度はさらに増します。より多くの賃貸管理業務を委託することができ、保証サービスによってリスクを軽減できるからです。転勤時の賃貸であれば、賃貸管理を取り扱っている会社の中でも、リロケーションを取り扱った経験・実績が豊富な会社に任せるのが安心といえるでしょう。
今回は転勤時に初めて賃貸経営を行う方向けに、家を貸すときに発生する手数料等の費用、賃貸管理の手数料が提供されるサービスとどのように結びついているか、そして転勤時の賃貸経営・費用の考え方について紹介しました。
中でも賃貸管理会社へ支払う管理手数料は、契約の種類やサービスの提供方法によって大きく異なります。基本的な管理業務に対して支払う管理手数料のほかにも、あえて費用をかけて手厚いサービスを選べば、賃貸中や解約時のリスクをコントロールすることが可能です。賃貸経営にどういうリスクがあるかを把握する上でも、家を貸すことが不慣れな方は保証が充実しているリロケーションを多く取り扱う賃貸管理会社に問い合わせてみることをおすすめします。
転勤時の賃貸運営では、数々の管理業務を自ら行うことは難しいものです。賃貸管理会社の保証やサービスを積極的に活用し、賃貸運営における手間やリスクを軽減しましょう。
なお、この記事で述べた一時使用賃貸借契約を取り扱う会社は当社など一部に限られています。相談先となる会社が提供している賃貸管理サービスがどの賃貸借契約で行われるものなのかによって、賃料・手数料・解約方法などは変わるものです。「転勤時の留守宅を賃貸に活用したい」と考えている場合は、まずは契約方法について相談してみてはいかがでしょうか。
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