「相続した家を貸したい」「海外赴任や転勤の期間だけ家を貸したい」と考えている方も多くいるかと思います。そのような中で「個人で家を貸すには、何らかの資格が必要なのでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか?家を貸す際、資格は不要です。しかし、今まで家を貸した事がなく、何から始めたら良いか分からない方も多いと思います。
この記事では、一軒家やマンションを貸す際の「注意点」や「流れ」を解説し、家を貸す場合に必要な知識をお伝えいたします。
結論として、家を貸すにあたって特別な資格は必要ありません。
不動産の取引に関する法律である宅建業法では、宅地建物取引業の免許を持たない者が業として不動産売買を行うことが禁止されていますが、自ら賃貸を行うことは禁止されていません。ただし、賃貸でも仲介業務を行う場合は必要になります。
家を貸すために資格は必要ありませんが、賃貸運営に必要な知識を得るという点で持っておくとよいとされる資格には、次のような資格があります。
・宅地建物取引士
不動産取引における国家資格です。独占業務として、不動産売買や不動産賃貸の仲介の際に行う重要事項説明と重要事項説明書への記名・押印、契約書への記名・押印ができます。試験に合格し、登録することで宅建士になることができます。
・賃貸不動産経営管理士
不動産賃貸において、入居者募集から契約手続きまでの仲介業務が宅地建物取引士の仕事されているのに対して、賃貸不動産経営管理士は、入居審査や入居中に必要となる設備の維持管理、賃貸契約の更新、退去時の手続きを行います。入居者が賃貸住宅を安心して利用できるようにサポートするのはもちろん、賃貸物件のオーナーが資産を有効活用できるように手助けするなど、賃貸住宅に関わる人々の間を取り持つ重要な役割を果たしています。2021年からは 国家資格となり、注目されている資格です。
・ファイナンシャルプランナー
不動産は購入金額が大きく、多様なローンの選択や複雑な税制、今後の教育資金や老後の年金収入などを考慮する必要があります。ファイナンシャルプランナーには、金融・税制・不動産・生命保険・年金制度などにおける幅広い知識をもとに、人生設計を資金計画の側面から考える力が問われるため、賃貸経営に限らず、生きていく上で必要なお金についての知識を得ることができます。
・不動産実務検定(旧大家検定)
不動産実務検定は、賃貸経営者や建築不動産業界関係者、個人不動産投資家を対象とした、不動産運用に必要な実践知識を体系的に網羅した不動産投資専門資格です。法令や税務、建築、ファイナンス、賃貸の契約や運営など、不動産運用に必要な幅広い知識を学ぶことができます。
資格がなくても家を貸すことができますが、家を貸す際には注意しておくべきことがあります。対応が遅れると違約金が発生することもあるので、そのような事態にならないよう、ここでは家を貸す際に気をつけたい注意点をお伝えします。
住宅ローン返済中の家を貸すことは、原則としてできません。住宅ローンは、購入した物件をローン契約者が住むための家として利用することを前提に融資をしているためです。原則として、住宅ローン返済中は契約者が物件に居住することとなっており、その家を貸し出すなどして収益を生み出す行為は金銭消費貸借契約に違反することになります。
ただし、転勤等のやむを得ない事由がある場合は、住宅ローン返済中でも家を貸すことを認める金融機関もあります。転勤期間中のみ賃貸運営を行うなど、期間を限定して家を貸すことを「リロケーション」といいます。リロケーションを実施する際は、事前に金融機関に承諾を得てから始めるようにしましょう。
家を貸す際の契約方法は「普通借家契約」「定期借家契約」「 一時使用賃貸借契約」の3種類があります。この中で普通借家契約は、少なくとも「1年以上」の賃貸期間を設定しなければならず、元の家に戻りたくても契約が終わるまで待たなくてはなりません。その間、別の場所で仮住まいをするなど出費やリスクを抱えることになります。また、契約期間が満了しても入居者が希望すれば更新が可能なため、期間を限定して家を貸したい場合には不向きな契約方法です。
契約ごとの特徴を知らずに契約してしまうと、柔軟に対応できず損をしてしまうこともあるので、事前に契約の種類や各契約の特徴を把握しておきましょう。転勤期間を終えた後、家に戻る予定があるなら「一時使用賃貸借契約」、それ以外なら「定期借家契約」を締結しましょう。
家を貸す際には、家を維持するためや賃貸運営業務の負担を減らすための費用などがかかります。
それぞれの費用は広さ、前年の収入によってバラつきがあります。
たとえば、賃貸管理会社への委託費は、賃料に対して5~10%くらいが相場です。費用を抑えるために貸主自身で管理を行う「自主管理」という方法もあります。都度対応することになりコストパフォーマンスを考えると管理会社に委託した方がよいでしょう。
ハウスクリーニングやリフォーム費用は、業者によって価格に差が出ることがあります。自ら業者選定を行う場合には、複数社で相見積もりを取ることが有効です。業者選定の基準は金額だけではありませんが、およその 相場を把握しておくことで費用の高額化を回避し、余計な出費を防ぐことができます。
また、家を貸す場合に、賃料アップのためのリフォームを計画することもあるかと思います。リフォームにかかる費用とリフォームによって期待できる家賃の増収額を試算し、費用の回収の見込みが得られる範囲で実施するようにしましょう。
これらは、賃貸管理会社に相談することをおすすめします。リフォーム後に期待できる賃料の算出をはじめ、家を貸すために特化したリフォーム提案を受けられるためです。そのため、無駄なコストを掛けず費用の回収が短縮化できるなど、コストパフォーマンスが期待できます。
家を貸すことを検討しており、費用が分からない、リフォームの要否に迷っている場合は、ぜひ当社にご相談ください。
実際にご自宅を拝見し、余計な費用を掛けず、賃料アップが期待できる効率的なリフォームの提案をさせていただきます。ぜひ、こちらの問い合わせフォームからご連絡ください。
確定申告では、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、その所得に対する所得税を計算して精算します。
通常、サラリーマンなどで給与所得のみの場合は、会社で年末調整が行われるため、自分で確定申告を行う必要はありません。しかし、年末調整を行っていない場合や給与所得以外の所得がある場合などは確定申告が必要です。
確定申告は、翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。税務署でもらえる確定申告書の書式や国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告書作成し、管轄の税務署に提出します。提出は税務署へ直接持参するほか、郵送やe-Taxを利用することもできます。
参考:管轄の税務署などを知りたい方はこちら[国税庁]
家を貸すときは、家を貸し出す前の状態を写真などで記録しておくことが重要です。入居者には退去時に原状回復が義務付けられており、入居者の故意・過失による損傷は入居者に原状回復を求めることができます。このとき、原状の記録があれば誰が負担すべきかを明確にできるので、退去時のトラブル防止になります。
入居者が短期間で解約した場合、再度入居者を募集するにあたって、ハウスクリーニング費用や手数料が発生します。 短期解約に対して違約金を設定することで、途中解約された際の損失を軽減することができます。
違約金については、「1年未満の解約は追加で1ヶ月分の賃料の支払いが必要」など、不動産会社によって異なりますが、リロの留守宅管理では、契約開始から半年以内に入居者都合により解約された場合は0.5ヶ月の家賃を支払う特約を設定しています。
家を貸す契約を結ぶ前には、入居希望者へ家を貸しても問題ないか入居審査を行います。賃貸管理会社や保証会社が行う入居審査ではおもに支払能力を確認し、家賃の支払い遅延や滞納などのトラブルのリスクを抑えることを目的としています。
しかし、賃貸運営におけるトラブルは家賃にまつわるものだけではありません。ほかにも、ペット禁止や禁煙などの契約条件が守られないことや、契約終了時に家を明け渡してもらえないといったトラブルも考えられます。これらすべてを入居審査で判断することは難しいでしょう。このような場合は、ある程度のリスクを見込んで、賃貸管理会社などの保証サービスの利用も検討しましょう。
そのほかには、会社(法人)が借主となる法人契約として貸し出す選択肢もあります。会社の規模にもよりますが、個人よりは支払い能力が高いことが多いでしょう。
リロケーション・ジャパンでは、大手上場企業をはじめとしたリログループの2万社超の法人取引企業の社員も入居者候補となります。大手企業も多くあり、安心して大切な自宅を貸し出すことができます。賃貸管理業においても40年以上の実績があり、入居審査も含めて安心してご自宅を貸し出していただけます。
ご自宅を貸すにあたっては、賃料がいくらになるか気になるところです。賃料は時期によっても変動するため、相場を見誤らずなるべく良い条件で貸し出したいものです。そのためには、賃貸管理会社と相談しながら賃料を設定することが重要です。家を貸すことを検討しているのであれば、下記のフォームから賃料査定を申込んでみてはいかがでしょうか。思っている以上の賃料になるかもしれません。
入力目安時間 約90秒!賃料査定フォームはこちら
戸建てを賃貸する場合には、戸建て特有の注意点があることも覚えておきましょう。マンションと異なり、戸建ては外壁や屋根も自らメンテナンスを行わなければなりません。また、独立して建っているため、災害のリスクや防犯上のリスクもマンションに比べて大きくなります。保険やセキュリティ会社の利用などの対策が必要です。
ここでは家を貸す手順について、不動産会社探しから契約までを詳しく説明します。入居者募集のほとんどは、不動産会社に任せることができます。一部、貸主が対応しなければならない部分もありますが、自分で募集を行う場合に比べて手間を削減できます。
大手を含めた数社程度から話を聞き、各社共通のサービスと、企業ごとのサービスの特徴を確認しましょう。貸主が賃貸管理を行う自主管理も可能ですが、賃貸管理の仕事は多岐にわたり時間も手間も知識も必要です。専業で不動産業を行うわけでなければ、不動産管理会社に管理委託をすることをおすすめします。
不動産管理会社と一口にいっても、会社によって得意分野は異なるため、賃貸物件を扱いっていて賃貸に強みがあることを条件に探しましょう。また、アパートやマンションなどの集合住宅に強いのか、戸建てに強いのかについても、不動産管理会社によって異なるため確認が必要です。
当社の場合、転勤中の持ち家の賃貸の実績が多く、戸建てやマンションの戸別賃貸管理のきめ細かさには定評があります。物件ごとの事情にあわせた賃貸管理は、転勤中の賃貸運営から不動産投資まで、ひろく対応しており、そうした経験が「 貸主の手間やリスクの軽減」「初めての方でも安心」といったサービスの特徴に反映されています。
不動産管理会社に査定依頼を申し込みましょう。はじめは築年数や面積など、データをもとに行う机上査定が多いため、ご自宅の間取りや、築年数、専有面積などを事前に確認しておく必要があります。また、先述した通り、各会社の特徴を把握し、複数の会社に依頼することがポイントになります。
机上査定は実際の物件を確認していないので、概算の賃料になります。家を貸す場合は正確な賃料が必要になりますので、訪問査定が必要になります。
机上査定の結果を受けて、より正確な査定額を知りたい場合や、賃貸運用について具体的に検討している場合は、訪問査定に申し込みましょう。不動産会社の担当者が実際に物件に訪問し、家の中や周辺状況なども確認することで、より精度を高めた査定を実施します。
当社では、物件の状況や周辺環境を確認して査定を行うとともに、お客様のお話をお伺いし、ご状況に合ったプランを提案いたします。
入居者募集を依頼する不動産会社を決めたら、不動産会社と契約を締結します。契約には次の2種類があります。
契約種類 | 特長 |
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代理契約 |
|
媒介契約 |
|
共通するのは不動産会社が入居者を募集することです。
代理契約とは、「賃貸人からあらゆる権限を与えられる」という契約で、これらとは別に結ぶ賃貸借契約の名義は不動産会社となります。あらゆる権限が与えられているため、入居者選びの決定権は不動産会社自身にありますが、実務上は貸主と相談しながら入居者を決めていきます。代理契約の場合、契約書の押印は不動産会社となるため、契約書のやり取りが煩わしくありません。
自分で入居者を選び、信頼できると判断してから貸したいなら「媒介契約」がおすすめです。不動産会社に全てを委託したい、あるいは遠くにいて入居者についての判断が難しいという場合は「代理契約」がよいでしょう。代理契約のほうが、不動産会社の裁量が大きい分募集活動に力を入れてもらいやすいというメリットもあります。入居者への条件が特になく、すぐに決めてもらいたいなら代理契約が向いているでしょう。
入居者募集やその後の管理を任せるための契約を結ぶ前に、その不動産会社が行う募集方法と募集活動、進捗状況が報告される頻度や機会、その方法といったことも確認しておきましょう。ポータルサイトや情報誌、自社サイトや店頭広告での宣伝、提携先の不動産会社との連携、指定流通機構(レインズ)への登録など、不動産会社によって営業範囲は変わるので、募集方法は必ず確認しておきましょう。
当社では以下の方法で入居者を募集しており、中でもリログループのネットワークを活かした法人集客は当社が選ばれる理由の1つとなっています。
入居者募集に向けて、賃料を決めていきます。周辺の類似物件で成約した賃料を参考にします。成約賃料は時期によって多少の違いがあるため、ライバルとなる周辺の募集中物件の賃料も調べ、目安とするとよいでしょう。相場賃料が理想の賃料でない場合は不動産会社と相談しながら一旦高めの賃料で様子を見て、募集状況をみながら調整していくことも可能です。ただし、その場合は入居者決定までに時間がかかるリスクがあります。
期間を限定したいなど、入居者に不利な条件の場合は、その分家賃を下げて募集することがあります。契約期間の扱いは契約の種類によって異なり、契約形態については大まかに次の3通りがあります。相場通りの賃料を希望するのであれば「普通借家契約」が最適ですが、国内や海外の転勤中だけ家を貸して再度元の家に住みたいという方は、少し賃料を下げて「 定期借家契約」や「一時使用賃貸借契約」を用いることで、帰任時に確実に家に戻ることができます。
契約種類 | 賃料などの特長 |
---|---|
普通借家契約 | 賃料設定は相場通りで進められる |
定期借家契約 | 相場より1~2割安くなる |
一時使用賃貸借契約 | 相場より1~2割安くなる |
賃料を決めたら家を貸す際の条件を決めて募集します。条件は、次のようなものを設定します。条件を厳しくしすぎると入居者候補を狭めてしまい、入居者が決まりづらくなります。 賃料とのバランスをみながら、必要最低限の条件に留めましょう。
条件を決めて募集を開始したら、広告掲載ページを確認しましょう。ライバルとなる他の物件のページと比較して盛り込んだ方が良さそうなことがあれば、不動産会社に相談してみるのがおすすめです。
募集が始まると、広告を見た方から内見希望の問い合わせが入ります。内見は不動産会社が立ち会うので貸主が立ち会う必要はありませんが、事前に不動産会社に家の鍵を預けておく必要があります。居住中の家の場合は内見不可とすることもできるので、不動産会社と相談しておきましょう。
入居希望者の審査は、不動産会社を通じて保証会社が行うことが一般的です。早期に入居希望者が現れても、保証会社がNGを出して再度募集という事もあります。審査基準は各社で異なりますが、貸主自身で保証会社を選ぶことは難しく、不動産会社の提携先の会社となることがほとんどです。
入居審査、条件面でも問題ない場合は賃貸借契約を結びます。賃貸借契約においては賃料を受け取る権利がありますが、法的義務を負うこともあります。
基本的な義務としては
などがあります。
入居者が決定し、契約がまとまったら、入居前の準備を行います。入居前の準備は、ハウスクリーニングやクロスの張替え、原状回復のための部屋の現状の記録撮影などです。また、賃貸が始まる前に、火災保険に加入しているかどうかも確認しておくとよいでしょう。
義務ではありませんが、家を貸す前にはハウスクリーニングを行いましょう。汚れや損傷が目立つようであれば、内見開始前に行い、入居希望者の印象をよくするという方法もあります。
契約時には、ハウスクリーニングの負担について契約書に記載されているか確認しましょう。ハウスクリーニングやエアコンクリーニングは、特約で借主負担とすることもできるので、不動産会社に確認しましょう。契約書についても契約前に雛形を確認し、ハウスクリーニングなどを特約で貸主負担にできるか確認しておくとよいでしょう。
どんなに気をつけていても日焼けや自然消耗、経年劣化などにより変色が発生するため、新しい入居者の入居前に新品に張り替えます。退去後の原状回復の費用負担については、タバコのヤニや落書き、台所の油汚れや入居者がつけた傷などは入居者負担とすることができますが、それ以外は基本的には貸主の負担となります。
入居前に部屋の傷の有無や損傷箇所を写真などで記録し、退去時に入居者の故意過失による損傷があれば、原状回復として修繕費用を請求します。
契約書にも記録を行う旨が盛り込まれているかと思いますが、入居前の室内の損傷を撮影し、退去時に入居前の記録と確認して、入居者の故意過失による損傷であれば、入居者負担で原状回復をします。
賃貸物件の場合、実際に住む入居者だけでなく貸主も火災保険の加入が必要です。入居者の火災保険は入居者の過失によるものに限られ、近隣火災や自然災害等による建物への損害は貸主が費用負担します。入居者に過失がある場合においても、入居者に支払い能力がない場合があるため、火災保険とあわせて借家人賠償責任保険の加入も必要です。
家を貸すために持っているとよい資格、実際に家を貸すときの注意点、家を貸す手順についてお伝えしました。初めて家を貸す場合は、資格やしっかりと知識を身につけてからでないと、家を貸すことは難しいのではないかと考える方もいるかもしれません。しかし、不動産会社を活用すれば、入居者募集や賃貸中の管理のほとんどの業務を任せることができ、プロの力を借りて手間をかけずに家を貸すことができます。
当社は転勤中に家を貸す「リロケーションサービス」を日本で初めて事業化いたしました。初めての方でも安心して賃貸運営ができるよう、さまざまなサポートや保証サービスを取り揃えております。持ち家を貸すことを迷われている方、初めての賃貸に不安な方は、ぜひ一度当社にご相談ください。お客様のご状況に合わせて最適なプランをご提案いたします。
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