不動産屋選びの重要性は、家を売るときよりも貸すときの方が遥かに高いです。
不動産会社との関係は、売却は単発で終わりますが、賃貸は継続的な関係が続きます。
長い付き合いとなる不動産会社は、将来に渡り入居率を左右する存在となります。
不動産会社は賃貸経営の良否に影響を与えるため、不動産屋選びはとても重要なのです。
では、不動産会社はどのように選べば良いのでしょうか?
この記事では、「家を貸すときの不動産屋選び」について解説します。
賃貸経営における管理会社の重要性は、管理会社の業務を理解すると見えてきます。
家を貸すときに不動産会社に依頼する業務には、大きく分けて「日常的な管理業務」と「賃貸仲介」の2種類があります。
日常的な管理業務とは、普段から発生する物件の管理を代行する業務のことです。
賃貸仲介とは、空室が発生したときに新たな入居者を決めるための入居者募集業務のことを指します。
日常的な管理業務を例示すると、以下の通りです。
【日常的な管理業務】
上記の日常的な管理業務を行うに当たっては、特に管理会社に免許は必要ありません。
日常的な管理業務だけであれば、不動産会社ではなくても行うことができます。
一方で、貸主は管理会社に対して、空室時に新たな入居者を決める賃貸仲介の業務も依頼することが一般的です。
賃貸仲介を行うには、宅地建物取引業の免許が必要となります。
いわゆる不動産会社とは、宅地建物取引業の免許を取得している会社のことです。
貸主は、日常的な管理業務だけでなく賃貸仲介も依頼することから、管理は不動産会社に依頼することが一般的となっています。
貸主からすると、賃貸仲介の業務は管理会社に最も期待する部分といえます。
賃貸仲介に強い会社を選べば賃貸経営がより良いものとなるため、家を貸す際の不動産会社選びは極めて重要となるのです。
この章では、不動産会社の特徴について解説します。
不動産会社には、仲介に注力している会社と管理に注力している会社が存在します。
仲介に注力している会社とは、売買や賃貸の仲介に強みを持っている会社です。
仲介に注力している不動産会社は、比較的、売買の仲介に注力している傾向があり、売却や買取を専門に行っていることがよくあります。
売却や買取が専門の会社は、賃貸物件の管理について消極的な対応をすることが多いです。
一方で、管理に注力している会社とは、貸主から多くの管理物件を預かっており、賃貸仲介にも強い会社となります。
家を貸す際は、管理に注力している会社を選ぶことが望ましいです。
管理に注力している会社は、貸主から物件管理の委託を受けることに積極的であり、借主を探すノウハウも豊富に有しています。
前節で紹介した管理に注力している会社の中には、大手と地域密着型の会社が存在します。
管理に注力している会社で大手の不動産会社は、管理戸数が非常に多く、賃貸仲介の実力もある点が特徴です。
管理を行っている物件の種類も豊富であり、マンション一室から、戸建て賃貸、アパート、一棟マンション等まで幅広く物件を扱っています。
大手はノウハウも豊富であり、例えば海外転勤時に一時的に家を貸すようケースでも対応してくれます。
一方で、地域密着型の不動産会社は、地域の地主とのつながりが強く、地域の相場に精通している点が特徴です。
地域密着型の不動産会社は、主にアパートを管理していることが多く、マンション一室だけや戸数の多い一棟マンションは扱っていない傾向があります。
もちろん、ノウハウが豊富な会社は存在するものの、会社によって実力の差が大きく、信頼できる会社を見定めることが難しいという点が特徴です。
信頼できる地域密着型の不動産会社を知らない場合には、大手の不動産会社を選んだ方が失敗するリスクは低いといえます。
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家を貸す方法は、転勤等で一時的に家を貸す場合と親の実家等を恒久的に貸す場合では、対応方法が大きく異なります。
この章では、家を貸す流れについて解説します。
転勤等で一時的に家を貸す賃貸のことを、リロケーションと呼びます。
リロケーションでは、戻ってきたときに家を返してもらう(借主に退去してもらう)ことを想定することが必要です。
アパート等で締結される賃貸借契約は、普通借家契約と呼ばれます。
普通借家契約は借主の借りる権利が強く守られているため、貸主が戻ってきたときに都合よく家を返してもらうことができない契約です。
そのため、リロケーションでは、普通借家契約以外の契約で締結する必要があります。
リロケーションで用いる賃貸借契約は、定期借家契約と呼ばれる契約を用いることが一般的です。
定期借家契約とは更新の概念のない契約のことであり、契約期間が満了すると確実に賃貸借契約を終了することができます。
例えば、転勤期間が5年の場合、5年の定期借家契約を締結しておくと、5年後に戻ってきたときに家を確実に返してもらうことができるということです。
なお、定期借家契約では契約期間満了時に借主は確実に退去しなければならないことから、借主からすると不利な契約になります。
そのため、定期借家契約の家賃は普通借家契約の家賃よりも低くなることが一般的です。
親の実家等を貸す場合は、特段、返してもらうことを想定する必要がないことから、普通借家契約で貸し出すことが通常です。
普通借家契約は、アパートや賃貸マンションで広く用いられている契約であり、いわゆる家賃相場を形成しています。
そのため、普通借家契約で貸し出せば、定期借家契約よりも高く貸すことができます。
ただし、普通借家契約は借主の借りる権利が強く守られていることから、借主を簡単に退去させることができません。
貸主から借主を退去させるには、貸主側に正当事由と立ち退き料が必要です。
正当事由とは、借主を退去させる正当な理由となります。
立ち退き料とは、弱い正当事由を補完する金銭のことです。
一般的に正当事由はなかなか認められないため、その弱い理由を補完するために立ち退き料が必要となります。
例えば、親の実家を数年後に取り壊して土地活用をしたい場合には、普通借家契約を選択してしまうと借主を立ち退かせるのに立ち退き料が発生してしまいます。
そのため、数年後に取り壊し等を予定しているケースでは、普通借家契約ではなく定期借家契約を選択することが適切です。
家を貸すときの不動産会社の選び方とポイントについて解説します。
管理を依頼する不動産会社を選ぶには、賃料査定を依頼することが第一歩です。
賃料査定とは、いくらで貸すことができるかという家賃の見積もりのことを指します。
賃料査定は無料ですので、通常は何社かに依頼して高く貸してくれる不動産会社を探すことが多いです。
複数社に賃料査定を依頼することは、貸主として適切な行動ですが、査定を依頼する際は会社を良く調べたうえで依頼することが望ましいといえます。
近年は、インターネット上に無料で複数の不動産会社に一括で賃料査定を依頼できる一括査定サイトも増えてきました。
一括査定サイトは便利であるものの、一般的にどのような不動産会社に査定が依頼されるのかがわからないものがよくあります。
必ずしも管理の実績が豊富な会社に依頼できるわけではないことから、一括査定サイトでは期待した管理会社に出会えないことも多いです。
そのため、賃料査定を依頼するときは、一括査定サイトを利用せず、自分で不動産会社を調べてから査定を依頼することをおすすめします。
実績豊富な会社であれば、2~3社に依頼すれば十分です。
不動産会社のホームページを確認するという手間は少しかかりますが、良い会社を選べる確率は格段に上がります。
不動産会社は、管理戸数が多い会社を選ぶこともポイントとなります。
賃貸仲介に強い会社は、不動産会社のホームページで管理戸数を堂々と表記していることが多いです。
管理戸数が多いことは、それだけ貸主から信頼されているということですので、賃貸仲介が強い会社であることを物語っています。また、管理戸数が多い会社は賃貸仲介の実績も豊富であり、借主を決める際の入居審査の経験値も高いです。
入居審査は管理会社が行いますが、家賃の支払い能力だけでなく、トラブルを発生させないか等の人物審査も行います。
家賃の支払い能力は勤務先等の客観的な情報で判別できますが、人物審査は管理会社の経験値が必要です。
人物審査が適切に行われると、入居者トラブルも未然に防ぐことができます。
悪質な入居者が入ってしまうと、家を大きく汚される、壊される等が発生する可能性があります。
大切な資産を守るためには善良な入居者に借りてもらう必要があり、そのためには入居審査の経験が豊富な管理会社に管理を委託する必要があるのです。
転勤等で貸すときは、リロケーションに強い会社を選ぶことがポイントとなります。
リロケーションは定期借家契約を利用することから、アパート等の一般的な賃貸管理に比べると特殊です。
賃貸仲介に強い会社であっても、リロケーションの実績があるとは限りません。
普通借家契約を前提とするアパートの一般的な賃貸管理ばかりを行っている会社は、リロケーションを扱ったことすらない会社も存在します。
リロケーションも行っている会社は、ホームページで必ずリロケーションも行っていることを記載してあることがほとんどです。
転勤等で貸すときは、事前に不動産会社のホームページでリロケーションの実績の有無を確認したうえで賃料査定を依頼することが適切となります。
ITを駆使したサービスに積極的な会社を選ぶこともポイントです。
新型コロナウイルス以降、近年の賃貸仲介はIT化が急速に進展しています。
具体的には、オンライン内見やIT重説、電子契約等の非対面型のサービスが増えてきました。
特にオンライン内見は、多くの入居希望者を集めることができ、入居者が決まる可能性を高めています。
賃貸物件の借主はインターネットを利用する若い世代が多いため、ITサービスを取り入れている不動産会社は重要な選定要素となります。
貸主の相談に応じ、解決法を提案してくれる会社を選ぶことも適切です。
家を貸す場合、例えばリフォームすべきかどうか迷うこともあります。
リフォームは多額の費用が掛かってしまうため、管理会社に一度見てもらったうえで判断した方が無駄を防ぐことができます。
賃料査定時に不安な部分を相談し、適切なアドバイスを提案してくれる会社であれば望ましいパートナーといえます。
サポート体制が充実した不動産会社を選ぶことも重要なポイントとなります。
具体的には、24時間電話がつながるサポート体制が整っている会社が望ましいです。
24時間サポート体制が整っている会社であれば、借主がいつでも管理会社にサポートを依頼することができ、入居者の満足度が上がります。
入居者の満足度が上がれば、入居期間が長くなり、その分、入居者の入れ替えに伴う仲介手数料やクロスの張替え費用等も削減することができます。
また、貸主も24時間サポート体制があれば、いつでも連絡が取れるため、仮に入居者から直接クレームが入ったときも、すぐに対応できるようになります。
賃料査定を依頼する際は、どのようなサポート体制があるのか、必ず確認することをおすすめします。
以上、家を貸すときの不動産屋選びについて解説してきました。
管理会社が行う管理業務には、日常的な管理業務の他に空室時に新たな入居者を決める賃貸仲介もあります。
不動産会社は大きく分けて、「賃貸仲介に強い会社」と「売買仲介に強い会社」の2種類がありました。
家を貸すときの不動産屋選びでは、「会社を調べてから賃料査定を依頼する」や「管理戸数が多い会社を選ぶ」、「転勤等で貸すときはリロケーションに強い会社を選ぶ」等がポイントです。
不動産屋選びの概要がわかったら、早速に実績豊富な管理会社に賃料査定をご依頼ください。
カテゴリ:家を貸す 関連記事
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