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更新日2024年10月30日

自宅を賃貸に出すメリット・デメリット14選!
必要な費用・税金や具体的な手順も解説

自宅を賃貸に出すメリット・デメリット14選!必要な費用・税金や具体的な手順も解説

誰も住まなくなった自宅を有効活用したいと考えることはありませんか。そんなときに思い浮かぶ選択肢の一つが、自宅を賃貸に出すことではないでしょうか。

しかし、自宅を賃貸に出すことにどのようなメリットとデメリットがあるのか、はっきりと把握しないままに大切な自宅を貸し出すことには不安が残るはずです。

  • 自宅を賃貸に出すときにかかる費用はいくらか
  • 家賃収入を得た際の確定申告は必要か
  • 住宅ローンを利用しながら自宅を賃貸に出せるか

など、さまざまな疑問もでてくるでしょう。
そこで今回は、自宅を賃貸に出すときに知っておきたいことについて説明していきます。

自宅を賃貸に出すときの手順6ステップ?

自宅を賃貸に出す時の手順は下記の通りです。

  1. 賃料査定を依頼する
  2. 募集条件を決定する
  3. 賃貸管理を委託する不動産会社を決め、入居者を募集する
  4. 入居希望者が内見を行う
  5. 入居審査を行い、賃貸借契約を締結する
  6. 入居中の賃貸管理

賃料査定を依頼する

不動産会社に賃料査定を依頼して、賃料の相場を把握しましょう。期間限定で貸し出す場合、入居者にとっては入居できる期間が短くなるというデメリットがあるため、一般的な賃貸方法に比べて家賃は低い金額となります。

また、不動産会社によっては賃貸の契約期間を限定する「一時使用賃貸借契約」や「定期借家契約」の取り扱い実績が少ない会社もあります。期間限定で自宅を賃貸に出したいと考えている場合は、「一時使用賃貸借契約」や「定期借家契約」などの実績が豊富な不動産会社に賃料査定を依頼することをおすすめします

募集条件を決定する

賃料査定の金額を参考に、家賃や敷金・礼金など入居者募集にあたっての条件を決定します。転勤の間だけ自宅を賃貸に出したい場合や、将来的に自宅を使用する予定が決まっている場合などであれば、賃貸の契約期間も決定できるでしょう。

また、ペットの飼育が可能か、喫煙が可能かなど、入居における条件なども同時に決めておきましょう。

賃貸管理を委託する不動産会社を決め、入居者を募集する

入居者募集も賃貸管理会社に任せることができます。賃貸管理業務を委託する不動産会社によって、サービス内容や手数料などが異なります。

任せられる業務の内容や、サービスの特色を見比べて、手間やリスクの面など、行いたい賃貸に合わせた賃貸管理会社を選び、入居者募集を始めてもらいます
様々なメディアで入居者募集の広告が載るようになります。

入居希望者が内見を行う

広告に記載された条件を見て関心を寄せた人が物件を見学しに訪れるようになります。賃貸物件を探している人による内見です。いくら入居者募集の条件が良くても、実際の物件で汚れなどが気になるような場合は、入居申し込みをしてもらうことがきません。ハウスクリーニングなどを利用し、内見前に物件内を綺麗にしておきましょう。

入居審査を行い、賃貸借契約を締結する

内見をして物件が気に入った人から、入居希望の申し込みが入ります。その後、入居希望を受けて入居審査を行います。賃貸管理会社またはオーナーが入居可否の判断を行い、入居審査に問題がなかった場合は賃貸借契約を締結します。

入居中の賃貸管理

入居者が入居を開始したら、賃料の集金や入居者からの問い合わせ対応等の賃貸管理業務が発生します。

ただし、利用する賃貸管理サービスによっては、これらのほとんどの業務を任せてしまうことができます。賃貸借契約が終了する際には解約時の精算を行い、その後も賃貸を続ける場合には改めてハウスクリーニングを行うなど、新しい入居者の獲得に向けた再募集の準備へと続きます。

自宅を賃貸に出すときには、賃貸管理サービスを利用するケースとオーナー自身が管理を行う自主管理と呼ばれるケースがあります。自宅を始めて貸し出す際には、自主管理を行うことは難しいと考えられます。入居者対応や賃貸管理全般の手間を軽減するには賃貸管理会社に委託することが一般的です。

自宅を賃貸に出す7つのメリット

自分や家族が暮らす目的で取得した家やマンションは、状況の変化に伴って空き家となってしまうことがあります。

そうした場合に、自宅を元々の「住む」という用途から「賃貸」という用途に変える方法があります。

具体的なメリットは以下のとおりです。

自宅を賃貸に出す代表的なメリットといえば「家賃収入が得られる」ことですが、そのほかにも維持・管理費を経費計上できることや、相続税の低減が見込めるといったメリットなど具体的なメリットについて解説していきます。

家賃収入が得られる

自宅を賃貸に出すことで、入居者から毎月賃料を受け取れるようになります。本業とは別に不労所得が得られるうえに、入居者がいる限り継続的に家賃収入が発生するのは大きな魅力です

管理会社に管理を委託する場合は、管理手数料などの支払いが発生しますが、賃料設定によっては収入が費用を上回る可能性もあります。費用を上回った分は生活費に上乗せしたり、貯金に回したりして生活の質を上げられます。

自宅を手放さないまま資産運用できる

賃貸に出して家賃収入を得ながら、維持費のかかる自宅を保持できます。つまり、賃貸にすれば自宅を活用して資産運用ができるのです。生涯で最も大きな買い物となる持ち家を手放すことは、思い入れもあるためなかなか難しいでしょう。かといって空き家のまま放置してしまうと、ローンの支払いや固定資産税などの税金関係、管理費など、支出はあれど収入は発生しません。しかし賃貸にした場合、自宅を手放さずに済みます。それどころか賃料設定によってはこれらの支出をカバーしつつ、収入を得られます

自宅の維持管理ができる

自宅は人が住むことでも傷みますが、長期間空き家のままにしておくこともまた、物件や設備の劣化を早めてしまいます。家は人の居住によって、居室や収納への通風、配管への通水などが行われます。一定の頻度で設備が使用されることや、定期的に清掃が行われることにより、状態がある程度保たれます

また、空き家を対象とする犯罪から自宅を守ることができるメリットもあります。自宅の状態を長期間維持しようとすると、メンテナンスのための費用もかかるので、ここでも賃料収入が助けになります。

賃貸物件にすることで自宅を相続するより相続税が減る

相続税を計算する際の評価額について、物件が賃貸中であると、その物件に関する「権利関係による調整」により物件の評価額が下がります物件にかかる相続税は物件の評価額に対して計算されるので、評価額が下がればその分、相続税が減ることを意味します。自宅を賃貸に出すことで、土地は「貸家建付地」(建物に賃借人が住んでいるため自由にできない土地)として評価されるため、通常よりも相続税評価額が3割ほど低くなります。また、小規模宅地の特例を利用できれば、さらに減税することも可能です

相続税には基礎控除というものがあり、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。不動産を含めた遺産総額がこの金額よりも低かった場合は、相続税がかかりません。当然ですが、基礎控除を上回る金額が少なければ少ないほど、相続税も低くなるため、総合的に見た相続税の節税対策としても自宅を賃貸に出すことはメリットが大きいと言えます。

賃貸物件にかかる費用を経費計上できる

自宅を賃貸として出す場合、経営に関わる費用は経費として計上できるようになります。たとえば以下のような項目です。

  • 固定資産税、都市計画税
  • 火災保険料、地震保険料などの損害保険料
  • ハウスクリーニング費用、リフォーム費用、修繕費
  • 減価償却費
  • 管理組合に支払う管理費・修繕積立金[マンションの場合]
  • 賃貸管理会社に支払う管理手数料
  • 自宅を取得したときの借入金の利息分(ローン元本は認められません)[住宅ローンが残っている場合]

賃貸に出さない場合、これらは単なる出費として家計を圧迫しますが、賃貸に出すことで経費計上できるため、税金の支払いを抑えられるメリットが得られます

自宅を貸す際は、賃貸物件にかかる費用に対して収入がどれくらいになるか、大まかでよいので収支のバランスを知っておく必要があります。どのくらいの家賃収入を得られるか、賃貸管理会社に賃料査定を依頼して確認してみると良いでしょう。

将来的に再び住むことが可能になる

自宅を売却せずに賃貸に出して所有し続けると、将来的に転勤から戻ることになった場合や、子どもが独立した場合に再び住むことができます

一度売却してしまうと、賃貸物件を探す手間や家賃がかかってしまいます。家族構成の変化やライフスタイルにあわせて、住まいの選択肢を残せる柔軟性は、自宅を賃貸に出す大きなメリットと言えるでしょう。

ただし再び住むことを考える場合は、契約期間が決まっていて基本的に更新がない「定期借家契約」を活用することをおすすめします。「普通借家契約」で賃借人と契約してしまうと、貸主側から一方的に更新を拒絶することは困難です

将来的なライフプランも考慮したうえで、契約内容を決めることが重要です。

犯罪被害の防止になる

自宅を賃貸に出すことは、犯罪リスクを減らすことにつながります。空き家のままにしておくと人の出入りがないため、不法侵入やゴミの不法投棄など犯罪のターゲットにされるリスクが高まります。たとえ一時的であっても近隣の迷惑になってしまい近隣トラブルまで発展してしまうかもしれません。

空き家ではなく賃貸に出していれば、犯罪リスクを大幅に減らすことができるでしょう。また入居者がいること自体、近隣の方とのコミュニケーションが自然に生まれるため、不審者が近寄りづらくなる効果があります。

賃貸に出すことで空き家にしないことは、犯罪被害防止の観点からも大きなメリットになるでしょう。

自宅を賃貸に出す7つのデメリット

一方で自宅の賃貸にはデメリットもあります。

自宅を賃貸に出すデメリットは多くありますが、いずれも事前に対策を取っていれば避けられるものばかりです。どういった対策を取れば良いのかも含めて、詳しい内容を見ていきましょう。

費用がかかる

自宅を賃貸に出した場合、下記のような費用がかかります。

  • リフォーム代
  • 固定資産税
  • 所得税
  • 仲介手数料
  • 管理手数料

これらの費用は物件を所有するオーナーが支払う必要があります。自宅を貸し出す際には、これらの費用を前もって計算して収支シミュレーションを行っておきましょう。ただし、収入を得ようと家賃を高く設定してしまうと、借り手が見つかりにくくなるので、適切な賃料設定が重要です。

賃料の設定を行う際は、「賃料査定」を行うのが一般的です。リロの留守宅管理では無料で賃料査定ができるので、自宅をどのくらいで貸し出せそうか知りたい人は、ぜひ試してみてください。

手間がかかる

自宅を賃貸にした場合、次のようなさまざまな手間が発生します。

管理委託 自主管理
・管理会社の選定
・管理会社とのやり取り
・入居者の募集
・家賃の徴収
・入居者トラブルの対処
・リフォームの手配
・入居者との契約・更新・解約などの手続き
・建物の管理
など

管理会社に物件の管理を依頼しない場合は、費用は抑えられますが物件維持に関する手間を一手に引き受けなければいけません。一方で管理会社に依頼する場合でも管理会社の選定やトラブル時のやりとりなどが発生します。管理方法にもよりますが、自宅を賃貸に出した場合一定の手間が発生するのはやむを得ません。

特に自主管理は多くの手間が発生するうえに専門知識も必要になります。その点、管理会社に管理を委託すれば、手間も最小限で済み、プロに任せられるので専門知識がなくても大丈夫です。そのため、初めて自宅を賃貸に出す場合は、管理委託を選択することをおすすめします。

利用することで自宅の設備が消耗する

賃貸では人が住むことで行われる、清掃、通風、通水により自宅の状態が守られますが、一方で、利用を続けることで生じる設備の消耗があります

賃貸中に破損や消耗が発生した場合、修繕にかかった費用をオーナーが全額負担しなければいけないかというと、実はそうではありません。発生した破損や消耗のうち通常の生活でできた、いわゆる経年劣化に関してはオーナー負担となります。一方で、故意に破損させてしまったものや、故意でないにしても破損や劣化を放置して悪化させたような入居者に過失がある場合は入居者負担となります。ただし、この点は証明が難しいケースもあるため、場合によってはオーナー負担が増すことも考えられます。

設備消耗による費用負担を最小限に留めるためには、オーナー側と入居者側の負担項目について具体的な内容を契約書に盛り込むのがおすすめです。入居者自身が設備の破損に対して費用を負担する可能性があることを提示しておくことで、入居者が物件を雑に扱う可能性を低減できるはずです。

賃貸人としての義務が課される

賃貸借契約が成立すると、家の所有者と入居者の関係は、貸す(賃貸)人と借りる(賃借)人になります。物件の取り扱いに関して、賃貸人と賃借人は互いにそれぞれ権利と義務を負うことになります。義務の内容については交わす契約で個々に定められることもあれば、借地借家法などの法律で定められていることもあります。

賃貸人は「建物を使用・収益させる義務」を負います。そのためには、建物が使用できるように「建物の修繕」と「建物の維持・管理に必要な費用の支払い」が必要です。

物件の取り扱いに制限がかかる

前項でも触れているとおり賃貸に出した場合、賃貸人の義務が発生するためオーナー都合の一方的な解約はできません。これによって次のように物件の取扱いに制限がかかります。

  • 売りたいときに売れない可能性が高い
  • 自分が住みたいときに住めない可能性が高い

要は自分が所有する物件なのに、自分の意思で自由に取り扱えないということです。ただし、これは賃貸の契約方法によって回避できる問題です。賃貸における契約方法としては、退去申し出がないかぎり更新され続ける「普通借家契約」と、契約期間を自由に設定できる「定期借家契約」、保証期間の経過後3ヶ月前までに解約を申し入れれば退去させられる「一時使用賃貸借契約」があります。

自宅を期間限定で貸し出したい場合は、定期借家契約もしくは一時使用賃貸借契約がおすすめです。特に一時使用賃貸借契約の場合は、貸主側が優位な契約方法なので、物件の取扱いの自由度を求める場合は、一時使用賃貸借契約を選択しましょう。それぞれの契約方法についての詳細はこちらの記事をご確認ください。

住宅ローンの制約がかかる可能性がある

自宅を購入する際に住宅ローンを利用した場合、自宅を賃貸に出す際に注意が必要です。住宅ローンは、契約者自身が居住することを前提に融資が承認される仕組みです。金融機関との契約時に「「自ら居住すること」が条件として明記されているため、金融機関に許可なく賃貸に出してしまうと契約違反になるリスクがあります。

ただし転勤などのやむを得ない理由があれば、契約条件を変更できる場合があります。一般的には、住宅ローンから賃貸住宅向けローン(アパートローン)に切り替えると金利が高くなります。

月々の返済費用が変わってしまい負担が増える可能性もあるため、検討される場合には注意が必要です。リロケーション・ジャパンでは、オーナーのローン残高を踏まえた収支計算などの相談も承っているので、ぜひ一度お問い合わせください。

確定申告の手続が複雑になる

賃貸収入がある方は確定申告を行って、税金を申告しなければなりません。年末調整を受けている方の場合、不動産所得が年間20万円以上あると確定申告が必要になります。不動産所得は、賃貸収入から必要経費を差し引いて算出できます。

必要経費として計上できるものは、修繕費や管理費、ローンの利息など多岐にわたるため申告が手間だと考えられるかもしれません。確定申告ソフトを使えば、簿記や会計の知識がない初心者の方でもスムーズに確定申告を進められます。

また、確定申告の手続きに不安があったり時間が取れなかったりする場合は、税理士に依頼するのもおすすめです。費用はかかりますが、経費の計上漏れや控除の適用漏れをなくせるため、節税効果の高い確定申告ができます

自宅を賃貸に出す際の3つの管理方法

自宅を賃貸に出す際の3つの管理方法

自宅を賃貸に出す場合「管理はどうすればいいのか」といった声が、多く寄せられます。ここでは主に利用される3つの方法について、詳しく解説いたします。

自主管理

物件のオーナー自身が、管理業務をすべて行う方法です。具体的には入居者の募集や家賃の回収、トラブル対応・建物の修繕などにあります。管理会社に支払う手数料が不要なので収益性が高くなることが一番のメリットです

専門的な知識や対応力に自信がある方には、おすすめの管理方法です。国土交通省によれば、賃貸物件において自主管理をしているオーナーの割合は全体の2割程度になります。急を要する問題も発生する可能性がある点においては精神的な負担も大きいと言えるでしょう。

直接物件に出向いて対応するケースもあるため、転勤などで遠方にいる方に自主管理はおすすめできません

管理委託

賃貸管理を不動産会社に委託する方法です。ほとんどの管理業務と小さなトラブル対応は不動産会社に任せられるため、オーナーの負担を大きく減らせます。緊急時の対応も任せられるため、自主管理の負担を考えると「管理手数料を払ってもメリットが大きい」と考えるオーナーの方は多いです。

賃貸経営の経験が少ない方でも、管理のプロに任せられるので安心できます。費用については、一般的には賃料の5〜12%ほどの管理手数料がかかります。管理を委託する不動産会社や担当者によって対応が変わるため、サービス内容をしっかりと確認しましょう。

サブリース

不動産会社がオーナーから物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する方法です。不動産会社が家賃保証を行うので、空室が多い場合でも収入の見通しが立ちやすいです。

管理業務を一任できるという点では管理委託と似ておりますが、管理委託は大きなトラブルなどの最終的な判断はオーナーが行う必要があります。一方でサブリースであれば、最終的な判断でさえ不動産会社に一任できるため、管理委託と比較しても、よりオーナーの負担を軽減できる方法といえます

しかし、管理委託と比較すると手数料の負担は大きくなります。また正当な事由なく中途解約ができないため、転勤などで一時的に自宅を賃貸に出すケースには不向きと言えるでしょう。

自宅を賃貸に出すときに知っておきたい費用のこと

先述の通り、賃貸には任意のものも含めて多様な費用がかかります。ここでは、いくつかの費用について「どういうことで増減するのか」「何のための費用なのか」などを改めて補足していきます。

費用相場 概要
ハウスクリーニング費用 8,000~25,000円 自宅内の清掃にかかる費用
リフォーム・リノベーション費用 5~100万円 老朽化した設備を新築の状態に近づけるための改修費用
故障した設備の修繕費 15~300万円 貸し出し前から故障している設備または賃貸中に故障した設備に関する修繕費用
管理会社へ支払う委託費用 家賃の5~12%程度 入居者募集から管理までを管理会社に委託するための費用

どの程度の費用がかかるかは物件の状況によって変わってきますが、初期費用としてある程度の出費があることは覚悟しておきましょう。ただし、ここで費用を出し渋ってしまうと入居者探しが難航するなど、賃貸経営に悪影響が出てくるので、ある程度は先行投資として割り切る勇気が必要です。

ハウスクリーニングの費用

ある程度の期間を暮らしてきた物件であれば、日常的な掃除ではなかなか取れない汚れも残ってしまうものです。人が住んでいた痕跡が色濃く残るような物件は、やはり借り手からは好まれません。こうした汚れを取り、人が住んでいた痕跡を極力消すために、プロによるハウスクリーニングは必須です

費用をかけてプロにハウスクリーニングを任せることで、落としづらい汚れや、暮らしているときには気づきづらい汚れもきちんと落としてもらえます。家の清潔さが上がれば、物件を見に来た人により良い印象を与えられるため、入居者も見つかりやすくなるでしょう。なお、クリーニングにかかる費用は、広さや対象とする設備の数、種類といったもので決まります。たとえば浴室にかかるクリーニング費用の目安は、14,000~17,000円程度です。ハウスクリーニング費用については、入居者と契約時の取り決め(特約)で、借主負担とすることもできます。賃貸借契約を行う前に、退去時のハウスクリーニング費用については前もって決めておくことが大切です。

リフォームやリノベーションの費用

建物自体や設備が古くて住みづらい、入居者が決まりづらい場合に検討したいのがリフォームやリノベーションです。リフォームやリノベーションにかかる費用の目安は、修繕箇所にもよりますが一つの設備につき5~100万円程度と高額です。そのため、手当たり次第改修することはできません。リフォームやリノベーションでどこを優先的に改修すべきかは、家の状態や予算などによって異なり、これを判断するには豊富な賃貸経営の経験が必要です

しかし、個人の経験で賃貸経営の知識や経験を身に付けることはなかなか容易ではありません。そこで利用したいのが、賃貸管理会社の賃料査定です。賃料査定の際に「どこを優先的に改修すべきか」を合わせて相談することで、効果的なリフォーム・リノベーションを実現できるでしょう。なお、リロの留守宅管理の場合は、畳工事・表具工事・内装工事を請け負っており、それぞれ下記の金額で対応可能です。

  • 畳工事:4,400円~/畳
  • 表具(襖・障子・網戸)工事:1,650円~
  • 内装(クロス・カーペットほか)工事:770円~/㎡

※2021年10月4日現在

故障した設備の修繕費

自宅にある設備で故障しているものがあれば、賃貸に出す前に修繕しておく必要があります。故障している設備によって修繕費は異なりますが、目安としては15~300万円程度かかると思っておくと良いでしょう。また、賃貸中に生じた故障において、過失等で入居者に責任がある場合を除き、経年劣化や通常利用の中での消耗による故障等は、貸し出している所有者が費用を負担して直さなければなりません

自宅の中の設備について、いつ壊れるか予測するのは難しいですが、長く使っているものが多い場合には、設備の耐用年数を確認しておき、賃貸中の支出としてある程度の予算を見積もっておくと安心です。また、不意の支出に対して早急な対応を求められることも多いので、貸主の負担を軽減するためのサービスがオプションとして提供されている管理会社と契約しておくというのも一つの手でしょう

保険料

自宅を賃貸に出す際には「火災保険」や「地震保険」に加入して損害に備えます。建物については貸主側の保険、家財は借主側の保険で対応するのが原則になります。

マイホームで損害保険に加入している場合は、建物・家財のどちらに対しても保険に入っているケースが多いです。自宅を賃貸に出す前に家財の損害保険については解約するため、保険会社に忘れずに伝えるようにしましょう

また貸主は借主に対して「借家人賠償責任補償」に加入するよう指定するのが一般的です。借主側が賃貸住宅の契約時に加入する「火災保険」は、ほとんどのケースで「家財保険」と「借家人賠償責任補償」がセットになっています。

「借家人賠償責任補償」は、偶然の事故で火災や水濡れなどを起こしたとき、貸主に対して支払う費用を保険でまかなう仕組みです。

管理会社へ支払う委託費用

管理会社に管理を委託する場合は、家賃の5~12%程度の委託費用を支払う必要があります。委託することで入居者の募集から自宅の管理、家賃の入金管理など、賃貸時に必要な管理業務を代行してくれます

なお、管理会社によってサービスの内容が異なるので、どこまで対応してほしいかを検討のうえ、対応可能な管理会社を選ぶようにしましょう。また、管理会社の質によっては入居者がなかなか決まらなかったり、頻繁に入居者トラブルが起きたりすることもあり得るので、実績が多く信頼のおける管理会社選びが重要です。

自宅を賃貸に出したら税金はどうなるの?

自宅を賃貸に出したら税金はどうなるの?

自宅を賃貸に出した場合でも、土地と建物に関する税金は継続して支払わなければなりません。また、家賃収入が発生すると賃貸経営で得た所得に対する所得税を支払う義務が発生します。

固定資産税、都市計画税の支払いは継続

自宅を賃貸に出しても、自宅の所有者であることに変わりありません。そのため固定資産税や都市計画税は、これまで通りに支払う必要があります。賃貸に出すことによって、固定資産税や都市計画税の金額が変わることはありません。

賃貸で得た所得には所得税がかかる

自宅を賃貸に出して得た所得は不動産所得と呼ばれ、所得税の課税対象となります。そのため、家賃収入によって利益が生じた場合には翌年2月16日から3月15日までの間に、忘れずに確定申告を行う必要があります。

ただし、会社員で給与所得以外の所得(不動産所得とその他の所得)の合計が20万円以下の場合は確定申告が不要です。個人事業主は不動産所得を含めた所得が48万円以下の場合、年金受給者は公的年金等の収入の金額が400万円以下で公的年金等の収入を除いた所得(不動産所得含む)が20万円以下の場合に確定申告が不要となります。

参考:「ご存知ですか?年金受給者の確定申告不要制度」[政府広報オンライン]

住宅ローン利用中に自宅の貸し出しはできる?

転勤が決定し、転勤の間だけ自宅を賃貸に出したい場合などでは、住宅ローンを利用しているケースもあるでしょう。住宅ローン利用中に自宅を賃貸に出すことはできるのでしょうか。

自宅を賃貸に出す場合は、住宅ローンを完済するかローンの借り換えが必要

住宅ローンは、居住を目的とした土地・建物を取得する人が利用できるローンです。自宅を賃貸に出す場合、居住を目的とした土地・建物ではなく、賃貸経営を目的とした土地・建物に用途が変更されるため、原則として住宅ローンを利用することはできません

住宅ローンの残債がある場合は、残債の支払いを行ってローンを完済するか、残債を支払えない場合には事業用ローンへの借り換えを行わなければなりません。

住宅ローンを利用したまま自宅を賃貸にできる特殊なケース

原則として住宅ローン利用中に自宅の賃貸はできませんが、住宅ローンを利用したまま自宅を賃貸に出せる可能性がある特殊なケースがあります。

例えば転勤によって自宅に居住することが難しくなり、ローンの支払いを継続するためにも一時的に自宅を賃貸に出したいような場合です。もともとの契約内容や金融機関が事情の説明を受けた上での判断次第となりますが、このような場合は契約の内容を改めるなどしてローンの継続が認められる可能性が考えられます。

なお、契約を無視して相談なしに賃貸を始めてしまうと、契約違反で信用を失うばかりでなく、組んでいたローンに対して一括返済を求められることや、違法行為となるリスクもあるので注意が必要です。住宅ローンがある状態で賃貸を始めたい場合には事前に金融機関に相談をしましょう。

住宅ローン控除は自宅の所有者やその家族が自宅に居住している場合について、一定期間の所得税が軽減される制度です。住宅ローン控除の適用期間中に自宅を賃貸に出した場合は、所有者や家族が居住しなくなるため、住宅ローン控除が適用されなくなります
ただし、賃貸期間が終了して自宅での暮らしを再開する場合に、住宅ローン控除の対象期間が残っていれば、税務署に再度届出を提出することで住宅ローン控除の再適用を受けることができます。

自宅を賃貸に出した方が良い人の特徴

自宅を賃貸に出した方が良い人の特徴は次のとおりです。

【自宅を賃貸に出した方が良い人の特徴】
  • 家賃収入を得たい
  • 思い入れのある家を手放したくない
  • 将来的に自宅に戻る予定である
  • 資産として保有して、将来的に活用したい
  • 空き家として保持したくない

自宅を賃貸に出すのは、「空き家となった自宅を有効活用したいと考えている人で、家を手放したくない人または将来的に住む予定がある人」におすすめの方法です。また、将来的に資産価値が上昇することを見込んで、高値がついたときに売りたいと考えている人においても賃貸がおすすめできます。
自宅を賃貸する際には、先ず概算の賃料を知っておくと良いでしょう。
下のフォームから無料で賃料査定が行えます。結果は翌営業日には分かるのでお気軽にお試しください。

自宅を賃貸に出さない方が良い人の特徴

逆に下記のような特徴に当てはまる人は、自宅を賃貸に出すのは考え直した方が良いでしょう。

【自宅を賃貸に出さない方が良い人の特徴】
  • 単身赴任する人
  • 拠点を移したくない人
  • 一時的とはいえ、他人が家に住むのを好まない人

単身赴任の場合は残された家族が自宅に住み続けることになるので、賃貸に出す選択肢はなくなります。また、家族が転勤についてきたとしても週末は自宅に戻る場合は、賃貸には出せません。賃貸に出せる条件が揃っていたとしても「一時的にでも他人が住むのは嫌」という人は、自宅を賃貸に出すのは止めておきましょう

自宅を賃貸として活用するのがおすすめなケース

ここでは自宅を賃貸として活用するのがおすすめのケースを紹介します。

予期せぬことで一時的に自宅を空けることになりやすい転勤の場合

自宅を購入した際には予定がなくても、会社員として働いている以上、急に転勤を命じられることも考えられます。転勤とひと言で言っても期間はさまざまですが、終わりが見込まれるケースも多々あるでしょう。期間が限定されている場合は特にせっかく購入した家を手放すのは惜しい気持ちになります。長く住んできた場所ならば、数年間の転勤のために「住み慣れた地域から離れたくはない」「離れたとしても戻ってきたい」といった思いもあるかも知れません。

こうした場合は、自宅を賃貸に出すのが最良の選択となり得ます。賃貸にすれば自宅を手放す必要はなくなり、帰ってきたときにはまた同じ家での生活を再開できます。加えて家賃収入も得られるので転勤中の生活の支えにもなり、一石二鳥です

部屋の数が足りなくなるなどして引っ越す場合

子どもが産まれて部屋数が足りなくなったり、逆に同居中の家族が亡くなったり、子供が独立したりするなどで自宅の部屋が余ることがあります。こうした場合、そのまま住み続ける選択肢もありますが、家族の人数にフィットする住環境を求めて引っ越しすることもあるでしょう。この際、自宅の売却も選択できますが、賃貸に出して資産として自宅を所有しておくことも可能です。

また、賃貸に出しておけば子どもの独り立ちなどで引っ越し先の部屋を持て余すようになったら、自宅に戻る選択もできます

ちなみに、ある程度大きな自宅について部屋が余るような場合には、自宅全体を貸し出すという選択肢だけではなく、一つの家を複数戸に分け、所有する物件の一部を貸し出すことで、賃貸併用住宅にするという方法もあります。

先々を見越して自宅売却時の価格にある程度の期待が持てる状態で、住み替えを行う場合

物件の売却価格が将来的に「上がりそう」「キープできそう」「大きくは下がらなさそう」といった期待がある場合には、賃貸で収入を得ながら市場の変化を待つことができます。 貸してしまうと自由な売買をしづらくなってしまう側面はありますが、家の状態を維持しつつ、所有権を保持したまま売却の機会を先送りにすることができます。

買い替えを伴う住み替えなどで資金に余裕がない場合には、物件を売却して資金を作るようなことも考えられます。しかし、賃貸物件に住み替えられる程度に手元の資金にゆとりがあるような場合は、「持ち家を売却するか」「持ち家を賃貸に出すか」ある程度自由に選択できます。売却のように一度に大きなお金は手に入りませんが、今後5年、10年という先々を考えたときに、長期的に続く収入源として賃貸を選んだ方が得になるということが考えられます

特に、高齢者が体力を考慮してより暮らしやすい場所への住み替えを検討するような場面では、自宅を賃貸に出しておくことで、その後の相続では相続税が減ることも期待できます

家を賃貸に出す際のポイント

家を賃貸に出す際のポイント

自宅を賃貸に出すことは収入が得られるメリットがありますが、注意すべきポイントもあります。特に以下の3つは重要なので、押さえておきましょう。

  • 住宅ローンの契約内容の確認
  • 確定申告
  • 空室やトラブル発生のリスク

まず「住宅ローンの契約内容」を確認して、原則として住宅ローンからアパートローンに切り替える必要があります。住宅ローンの金利は0.5%(変動金利)前後なのに対して、アパートローンになると3~5%前後です。月々の返済額に大きな影響があるため、注意が必要です。

また、一般的に会社員などの給与所得者は確定申告に不慣れな場合が多いため、手続きに時間を要する可能性があります。万が一、申告を忘れたり不備があったりすると、追徴課税などの罰則リスクがあるため注意が必要です。

「空室やトラブル発生のリスク」は、賃貸経営において大きな課題の1つです。自宅を賃貸にだして入居者を募集したとしても、すぐに決まるとは限りません。空室期間が長くなれば、収益性が悪くなります。また入居審査をどれだけ慎重に行ってもトラブルはつきものなので、管理会社と相談しながら対応していく必要があります。

自宅を賃貸に出す際の管理会社を選ぶ3つのポイント

自宅を賃貸に出す際の管理会社を選ぶ3つのポイント

自宅を賃貸に出す際の管理会社選びは、賃貸経営に大きな影響を与えます。ここでは管理会社を選ぶ際のポイントについて、詳しく解説いたします。

大手か地域密着型か

大手管理会社の強みは知名度による集客力に加え、総合的なサポート力と安心感にあります。ブランド力と広いネットワークを活かせるため、入居希望者を集める間口が広いという点が強みになります。管理実績が豊富であることから、空室対策やトラブル対処のノウハウがあり的確なサポートが期待できるでしょう。

地域密着型の管理会社は、地元の賃料相場に精通しているため、地元のニーズに合わせた価格設定が提案できます。大手と比較すると、担当者一人あたりの管理物件数が少ないため、スピーディーかつ柔軟な対応が期待できます

提供するサービス内容

管理会社ごとに提供するサービスの範囲を、しっかりと確認することが重要です。多くの管理会社では、以下のようなサービスを提供しています。

  • 入居希望者の募集
  • 家賃回収
  • 設備のメンテナンス
  • トラブル・クレーム対応

たとえばリロケーション・ジャパンでは、同一箇所の修理内容を1回5万円まで負担するサービスがあります。提供されるサービス内容をしっかりと把握することで、オーナー自身の負担を軽減し、安心して管理を任せられます

担当者の対応スピード

良い担当者と出会うことは、管理会社選びと同じぐらい重要です。担当者のレスポンスの早さや、対応の手厚さについては細かく確認しておきましょう。担当者の対応次第で、入居希望者との交渉がスムーズに進まなくなることもあります。対応力だけではなく担当者の管理業務の知識の深さも、見定めておきたいポイントの1つです。

管理会社を決定する前に担当者と十分なコミュニケーションを取っておくことは、安心して管理を任せられるパートナー探しの一助となるでしょう。

まとめ

転勤やライフスタイルの変化に伴って一定期間自宅を離れる場合には、自宅を賃貸に出すことで、また自宅へと帰ってくることができます。家賃収入を手に入れることができ、自宅の状態を守ることにもつなげられるというメリットがあります。

収入が得られる一方で賃貸には手間や費用もかかるため、やり方を誤ると収入に対して過剰な労力や投資となってしまうというリスクも存在しています。賃貸経営がうまくいくと所得税が発生するので、収入と経費の内訳を理解して、しっかりと確定申告を行いましょう。

住宅ローンは自己居住の物件のためのローンです。住宅ローンを組んでいるときには、契約違反などにならないように、事前に金融機関に相談した上で賃貸を始めるように気をつけましょう。

自宅の賃貸で期間を限定して貸し出しを行いたい場合には、一時使用賃貸借契約定期借家契約という契約を用います。一般的に賃貸で多く利用される普通借家契約では、解約時期が不確かになるためです。限られた期間で賃貸を行える契約で入居者の募集を行おうとした場合、通常の賃貸物件とは賃料の相場が変わってきます。適正な賃料を設定することは賃貸経営においてとても重要です。そうした場合の賃料査定は、取り扱い実績経験豊富な当社に是非お任せください。

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