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更新日2024年9月13日

ずっと売れない中古マンションはどうする?特徴と対策を解説!

ずっと売れない中古マンションはどうする?特徴と対策を解説!

中古マンションの価格は以前よりもかなり高くなってきており、売りに出してもなかなか売却できないケースが増えてきました。

一般的に売りに出してから3ヶ月以上経っても買主が決まらないケースは、「やや問題あり」といえます。
半年以上も売却できていないケースは、「問題あり」です。

ずっと売れないマンションには、売れない原因があります。
ただし、売れないマンションを売却するには対策も存在しますので、本記事で紹介します。
本記事は、「ずっと売れない中古マンション」をテーマに解説します。

中古マンションが売れるまでの平均期間はどのくらい?

中古マンションが売れるまでの平均期間はどのくらい?

中古マンションの平均販売期間

中古マンションの平均販売期間について解説します。
平均販売期間とは、売りに出してから買主が決まるまでの期間のことです。(価格査定から引渡までのトータルの期間のことではありません。)

平均販売期間は、市場におけるマンションの在庫件数(売れ残り)とも相関します。
首都圏における中古マンションの在庫件数と販売日数の状況を示すと、下図の通りです。

首都圏の中古マンションの在庫件数と販売日数

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」
※在庫件数は登録件数から成約件数を控除して試算

在庫件数は、2020年から2021年にかけて新型コロナウイルスが流行したときは、市場の動きが止まったことから一時期、減少した時期が見られました。

その後、2022年以降は再び在庫件数が増え始め、2023年には大きく上昇している状況です。

在庫件数の増加に伴い、販売日数は2021年が71.4日であったのに対し、2023年は80.1日まで上昇しました。

在庫件数が増加した主な理由は、マンション価格が高騰したことで買い控える人が増えたことが挙げられます。

マンションの平均販売日数は3ヶ月弱(80.1日)ですので、3ヶ月以上経っても売れない場合は問題意識を持つ必要があり、6ヶ月以上売れない場合は対策が必要です

中古マンションの市況

中古マンションの市況を紹介します。
以下に、過去15年間における首都圏の中古マンションの価格と賃料の推移を示します。

首都圏のマンション価格と賃料の推移

出典:
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」
東京カンテイ「年間分譲マンション平均賃料」

価格に関しては、2013年頃から上昇傾向が見られます。
2013年から価格が上昇した主な理由は、この頃から日銀が低金利政策を始めたためです。

一方で、分譲マンションの賃料に関しては2017年頃までおおむね横ばい傾向にありましたが、2018年以降、急激に上昇し始めています。

分譲マンションの賃料が上昇してきた主な理由は、マンション価格が高いことからマンション購入を諦め、賃貸を選択する人が増えたからです
賃貸を選択する人が増えた結果、マンションの賃貸需要が高まり、その結果、賃料まで上がり始めています。

賃貸を選択する人が増えたということは、購入を選択する人が減っていることを意味します。
そのため、中古マンションは全体的に売却しにくくなっているのです

中古マンションがずっと売れない理由

中古マンションがずっと売れない理由

この章では、中古マンションがずっと売れない理由について解説します。

売り出し価格が高過ぎる

マンションがなかなか売れない理由としては、売り出し価格が高過ぎるという点が挙げられます。

売り出し価格が高いという点に関しては、「相場そのものが高い」ことと、「相場よりも高い」ことの2つが考えられます。

近年はマンション価格がかなり高騰していることから、相場そのものが高いことが売れない理由の一つです

前章で示したように、相場の高騰に伴い平均販売日数も長期化しています。

加えて、売り出し価格が相場よりも高い場合は、さらに売れなくなります。
例えば、本来なら5,000万円程度の物件が5,500万円程度で売りに出されているケースが、売り出し価格が相場よりも高いケースです。

中古マンションは、近所の人が購入することも多いです。
近所の人は、売主が想像している以上に物件の相場を把握しています。
中には新築時の分譲価格を覚えている人もいますので、新築時よりも高い価格を設定すると近所の人からは敬遠されることも多いです。

新築時よりも高い価格で売る場合には、相場を知らない遠方の人が主たる買主候補となる傾向があり、必然的に購入希望者が減るため、売却しにくくなります。

広告が十分ではない

広告が十分ではないことも、なかなか売れない理由の一つです。

近年の不動産の売却は、買主がインターネットの広告サイト(ポータルサイト)で物件を自ら検索し、気になる物件を見つけたら不動産会社に問い合わせるという流れが一般的です。
購入希望者が不動産会社に出向き、店舗で物件を紹介してもらうケースは少ないといえます。

そのため、ポータルサイト上の広告が不十分な場合、購入希望者に物件を見つけてもらいにくいことから、売却に相当に時間がかかってしまいます
物件を早く売るには、インターネットやチラシを通じて十分な広告を行うことが必要です。

内覧時の印象が悪い

内覧とは、購入希望者に物件の内部を見せる販売行為のことです。
売れない理由としては、内覧時の印象が悪いことも考えられます。

住みながら売却する場合は、「掃除が不十分である」、「物が多い」等の原因で生活感に溢れてしまうと物件が魅力的に見えないことがあります

また、空き家の状態で売却しても、床や壁に大きなシミやキズがある場合は、印象を悪くしてしまうことも多いです。

間取りが主たるターゲットと合っていない

なかなか売れない物件の中には、間取りが主たるターゲットと合っていないケースも存在します。

具体的には、郊外ではファミリータイプ以外の間取りが売却しにくいという現象が起こりがちです

郊外は物件価格が安いことから、広めの間取りを購入することができ、主たるターゲット層がファミリー世帯となります。

1LDKは都市部であればファミリータイプの価格が高いことからDINKS(Double Income No Kids:子どものいない共働き夫婦)や、就学前児童の子がいる家族世帯が購入するケースがあります。

一方で、郊外では1LDKは単身世帯向けと捉えられがちであり、単身世帯は購入需要が弱いことから、売却しにくいことが多いです。
地域によっては、2LDKもファミリー世帯に狭い印象を与えてしまうため、売却に苦戦することがあります。

仕様が古い

仕様が古いことで、売却が困難となる物件もあります。
売却しにくい典型的な物件は、旧耐震基準のマンションです

旧耐震基準とは、原則として1981年6月1日より前に建築確認を通過した建物のことを指します。

旧耐震基準のマンションは、原則として購入者が住宅ローン控除を適用することができません。
住宅ローン控除とは、返済期間が10年以上の住宅ローンを組んで、一定の要件を満たすマイホームを購入した場合に、所得税等から所定の金額が控除される制度のことです。

住宅ローン控除が利用できなくなると、買主が所得税等を節税できなくなることから、物件としての魅力が大きく劣ります。
そのため、旧耐震基準のマンションは、基本的に売却しにくいです。

買い手がつかない場合の対策

買い手がつかない場合の対策

この章では、買い手がつかない場合の対策について解説します。

売り出し価格を見直す

売り出し価格を見直すことは、売るための主たる対策となります。

なかなか売れない物件は、価格が高過ぎることが主たる理由になっていることが多いです。

前章で売れない物件の原因を紹介しましたが、価格の見直しは全ての売却できない原因に対して効果があります。

近年は、相場そのものが高いため、相場よりも少し高い印象があるだけで売れなくなっている物件も存在します。

価格の調整方法としては、まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の幅を知ることが必要です

一番低い査定価格を提示してきた会社にその理由を聞き、合理的な説明であればその一番低い価格水準に合わせることも一つの方法といえます。

広告戦略を見直す

広告戦略を見直すことも、対策の一つとなります。
広告は不動産会社が行いますので、広告が不十分になるケースは不動産会社に原因があることがほとんどです。

そのため、広告に注力している不動産会社に切り替えることが、広告戦略を見直すことになります

ポータルサイトを見ると、他社が物件をどのように広告しているか知ることができます。
広告熱心な不動差会社は、物件の写真数が多く、動画360°ビューイング等の写真以外の広告も掲載している点が特徴です。

動画360°ビューイング等の最新の情報掲載手法を取り入れている会社は、広告の重要性を熟知しているため、広告が改善されることが期待できます。

また、売主が行うべきことは、全室の写真を全て撮れる状態にしておくことです。
物件広告の中で、購入検討者がよく見る部分は写真になります。

写真が少ないと、物件に興味を持ってもらえず、問い合わせにつながりにくいです。
特に住みながら売る人は写真が少なくなりがちですので、全室で写真を撮れる状態として写真の量を増やすことをおすすめします。

内覧の準備をしっかり行う

住みながら売る場合には、内覧の準備をしっかり行うことが重要です。

内覧は土日に集中しますので、まず販売中はなるべく土日に予定を入れず、いつでも内覧に対応できるような体制を整えておきます

家財道具が溢れかえっている場合は、販売中はトランクルームを借りるなどして家財道具を減らしておくことが望ましいです
家財道具が少なくなれば生活感も減るため、物件の印象が改善されます。

また、汚れがひどい場合には、ハウスクリーニングも実施します
床や壁にある大きなシミやキズのうち、簡単に直せるものがあれば事前に修繕し置くことが望ましいです。

当日は、スリッパを用意し、事前に家の中の空気を入れ替えて、電気は全室付けた状態で購入希望者を出迎えることが望ましいといえます。

周辺の需要と合致しない場合は貸し出して売ることも検討する

郊外で1LDKのような狭い間取りの物件を売る場合、賃貸に出してから投資物件として売るという方法も考えられます。

狭い間取りの物件は、居住者としての需要はなくても、投資家の需要は期待できます。
また、狭い間取りの物件は、売却はしにくいですが、貸しやすいです。
そのため、賃貸に出して収益物件という形にすれば、売却できる可能性が出てきます

賃貸に出したい場合には、不動産会社に賃料査定を依頼します。
賃料査定も価格査定と同様に、無料です。
賃料査定を依頼する場合には、管理実績の豊富な管理会社に依頼することが適切となります。

物件価値を向上させるサービスを提供している不動産会社に切り替える

物件価値を向上させるサービスを提供している不動産会社に切り替えることも、対策になります。

近年は、大手不動産会社を中心に、様々な売却サービスが提供されるようになってきました。

中にはプロカメラマンによる撮影やハウスクリーニング、キズの修繕、建物保証、設備保証、荷物一時預かり等を無料で行い、物件の価値を高めた上で売却してくれる会社があります。
このような会社に依頼すれば、仕様が古くて売りにくい物件も売却しやすくなります。

また、サービスが充実している会社は、売却そのものに力を入れていることから広告が熱心な会社も多いです

そのため、サービスが充実している会社に切り替える際は、広告にも注力していることを確認したうえで切り替えることをおすすめします。

放棄したいなら買取を選択する

マンションを放棄したい場合には、買取を選択することも対策の一つです。
買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で売却することを指します。
買取は、価格は安くなるデメリットはありますが、早く売れる点がメリットです。

まず、相続でマンションを放棄したい場合、相続放棄をすることも考えられます。
相続放棄とは、初めから相続人でなかったものとみなされる制度のことです。

相続放棄をするには、相続開始を知った日から3ヶ月以内に申請の手続きをすることが必要です。

ただし、相続放棄は相続人でなかったものとみなす制度であるため、全ての財産を相続放棄することになります。
つまり、不要なマンションだけを相続放棄することはできないということです。
そのため、他に相続したい財産がある場合には、相続放棄を利用することは適さないといえます。

なお、2023年4月27日より相続土地国庫帰属制度というものができましたが、これはマンションでは利用できない制度です。

相続土地国庫帰属制度とは、相続で得た不要な土地を国に渡す制度になります。

以上のように相続放棄はマンションだけで行うことはできず、相続土地国庫帰属制度もマンションは利用できないことから、強制的に処分したいなら買取が現実的です

中古マンションが売れない場合どうなる?

中古マンションが売れない場合どうなる?

中古マンションは売れないまま放置すると、維持費が増えるだけでなく、最終的には売却がさらに困難になる恐れがあります

まず、マンションの維持費には、固定資産税や損害保険料以外に、管理費と修繕積立金があります。
このうち、修繕積立金に関しては、築年数が増えていくと増額されることが一般的です。
そのため、マンションを保有し続けると、修繕積立金が増えることで維持費の負担が重くなっていきます

次に、マンションは古くなっていくと限界マンションと呼ばれるマンションに陥る可能性があります。
限界マンションとは、老朽化や住人減少により、建物の維持管理が限界を超えてしまったマンションのことです。

限界マンションとは、限界集落(過疎化によって社会的共同生活の維持が困難となる集落のこと)を真似した言葉になります。

限界マンションに陥ると、管理組合に管理費が不足してしまうことから、共用部の管理が十分にできなくなる点が問題です。

共用部が常に汚い、植栽が伸び放題になる、共用部の電気が切れっ放し等の症状に陥る懸念があります。

限界マンションまで至ってしまうと、マンションとしての魅力が大きく劣ることになり、売却がさらに困難になります。

まとめ

以上、ずっと売れない中古マンションについて解説してきました。
2023年には市場における在庫件数が増えており、販売日数が長期化している点が特徴です。
近年は中古マンション価格が高騰しているため、価格の高さが原因で需要者が賃貸市場に流れる傾向も見え始めています。
中古マンションがずっと売れない理由としては、「売り出し価格が高過ぎる」や「広告が十分ではない」、「内覧時の印象が悪い」等が挙げられます。
買い手がつかない場合の対策としては、「売り出し価格を見直す」や「広告戦略を見直す」、「内覧の準備をしっかり行う」等がありました。
マンションがなかなか売れない場合には、参考にして頂けると幸いです。

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