持ち家に住んでいる場合、転勤が決まったら家をどうすればいいのでしょうか。持ち家のある方の中には住宅ローンを支払い中の方もいらっしゃるでしょう。
今回は、転勤の際に持ち家をどうするかについて、5つの検討のポイントと4つの選択肢をお伝えします。
転勤中の持ち家をどうするか、考えられる選択肢は次の4つです。
それぞれメリットやデメリットがありますが、まずは自分の状況を把握し、状況に合わせて検討することが重要です。
転勤期間が2年未満の場合は、単身赴任や空き家管理がおすすめです。いずれ帰ってくることがわかっているのであれば、単身赴任を選択して家族に家を維持してもらったり、空き家管理サービスを利用して劣化を抑えたりして、再び住む時に備えておくのがよいでしょう。
転勤期間が2~5年の場合は、賃貸に出すことを検討するのもよいでしょう。誰かに住んでもらうことで家が管理され、劣化を抑えることができます。また、賃貸に出せば家賃収入も得られるため、赴任先での生活費に充てることもできます。
転勤期間が未定またはさらに別の場所への転勤の可能性があるなど、持ち家に戻ってくるかどうかわからない場合は売却して手放してしまってもよいでしょう。家は適切な管理がなされなければ、劣化してしまいます。売却すれば管理の手間がなくなるほか、固定資産税などの固定費の支払いからも解放されます。物件によっては売却益が得られることもあるでしょう。
転勤時の持ち家をどうするかについては、同居している家族の状況や意見も把握しておく必要があります。
配偶者の仕事の都合上帯同してもらうことが難しかったり、子どもの就学状況によっては卒業まであと1年というタイミングだったりするなど、家族が引っ越すことが難しい場合があります。
この場合は、単身赴任、または本人が先に赴任先へ向かい家族はあとから引っ越すといった選択肢が考えられます。
転勤に際して利用できる会社の制度や受けられる補助がないかを確認しておきましょう。
単身赴任者向けの社宅や赴任先での家賃補助、転勤中の持ち家の管理に対する補助があれば、転勤期間中のお金に対する不安を減らすことができるでしょう。
単身赴任の場合は2拠点での生活となるため、生活費が増加します。また、長期休暇など帰省の際には交通費もかかります。これらについて前述したような会社の補助があれば、それほど大きな負担とはならない場合もあります。
家族帯同の場合は、赴任先の物価が高い場合、生活費が増加するでしょう。また、持ち家を残していく場合は引き続き固定資産税の支払いなどの維持管理費用がかかり、赴任先の家賃と合わせて住居費が2重でかかります。転勤期間が2年以上となる場合は、持ち家を賃貸に出し、持ち家の維持に必要な費用を家自身に稼いでもらうのも手です。
住宅ローンを利用している場合は、転勤に際して必要な手続きがないか、金融機関に確認しておきましょう。
住宅ローン控除は単身赴任の場合は引き続き利用できますが、家族帯同の場合は利用できません。ただし、転勤の場合は事前に手続きを行うことで、帰任後に残存期間において控除を受けることができます。赴任前に必ず手続きを行いましょう。
この章では、不動産会社の特徴について解説します。
メリット
デメリット
単身赴任は、本人以外の家族の引越しがないため、家族の負担を減らすことができます。また、住宅ローン控除は「生計を一にする家族の居住」でも適用されるため、引き続き税負担を減らすことができます。
一方、生活費が2重でかかることは経済的な負担となるでしょう。会社によっては、単身者向けの社宅を利用できたり、手当や補助を受けられたりすることによって、負担を軽減できるでしょう。しかし、家族と過ごす時間が減ってしまうことは、帰省の頻度を多くすることで多少軽減できるかもしれませんが、帰省費用がかかり、経済的な負担となるでしょう。
メリット
デメリット
持ち家を空き家として残しておけば、赴任先に持っていく荷物を必要最低限にできます。また、家具や家電を置いていけば、一時帰国の際に滞在することもできるでしょう。
ただし、人が住んでいない家は埃が溜まったり、害虫などが発生しやすくなったりするほか、建物自体の劣化も早まります。これらを抑えるには空き家の間も定期的な清掃など管理が必要です。管理を誰かに依頼する場合は費用が発生します。このほか固定資産税などのランニング費用もある一方、住宅ローン控除の適用は受けられなくなるため、費用についてはよく確認しておくべきでしょう。
持ち家を空き家にする場合は、空き家管理サービスを利用しましょう。
空き家管理サービスでは通水や換気などを実施し、持ち家の劣化を抑制することができます。また、定期的に持ち家を確認し、郵便物の回収を行うことは防犯にもつながります。費用は掛かりますが、プロに依頼することで、空き家を維持していくためのポイントをおさえた管理をしてもらえます。
一方で空き家管理サービス委託した場合、賃貸で得られる家賃収入はないので、支出が増えます。それにより生活費が圧迫される可能性が増えるのがポイントでもあります。
これらは知人に依頼することも可能ですが、相手の時間を使うことになるため、何らかのお礼を用意する必要があるでしょう。また、トラブルが発生した場合などは知人である方が指摘しづらいものです。依頼する場合は、相手との関係性も踏まえて、よく検討しましょう。
メリット
デメリット
転勤に際して持ち家を賃貸に出す最大のメリットは家賃収入が得られることでしょう。持ち家の維持費用に充てたり、赴任先の生活費にしたりできます。また、入居者によって家が管理されることもメリットの1つです。空き家管理のような巡回ではなく、毎日人が暮らしているということは、空き巣や放火などに対する防犯対策となります。
一方、入居者が問題なく生活できるように賃貸管理が必要になります。設備が故障するなどした場合は、迅速に修理手配を手配しなければなりません。また、入居者が生活する中で建具に傷がついたり、壁紙が汚れてしまったります。自らが居住しているときは日々少しずつ変化するため気づきにくいですが、通常の生活を送っていても経年劣化は発生します。帰任時には賃貸で得た家賃収入でリフォームを行い、心機一転新生活を迎えるのも良いでしょう。
持ち家を賃貸に出す流れは次の通りです。
転勤期間中は持ち家から遠くに住むこととなり、自分で入居者対応などを行うことは難しいため、賃貸管理会社を利用することをおすすめします。
まず、いくつかの賃貸管理会社に賃料査定を依頼し、その中から入居者募集と賃貸管理を依頼する賃貸管理会社を決めます。賃貸管理会社を決めたら、ポータルサイトへの広告掲載や内覧を通して、入居者募集を行います。
入居申込が入ったら入居審査を行い、支払い能力など借主として問題がないかを確認します。問題がなければ賃貸借契約を締結します。
入居中の管理は賃貸管理会社に任せられるため、基本的には報告などを受けて修繕の判断等をするのみです。
退去時も賃貸管理会社が手続きを進めるため、入居者とのやり取りは必要ありません。
転勤中の賃貸では、帰任した際に再び入居することを前提とすることがほとんどのため、契約の種類に注意が必要です。
一般的な賃貸借契約である「普通借家契約」の場合、原則として貸主から解約することはできません。転勤の場合は、あらかじめ期限を決めて契約を結ぶ「定期借家契約」、または「一時使用賃貸借契約」で契約しましょう。
一時使用賃貸借契約の場合は、3か月前の解約予告や転勤期間が伸びたときの対応など、他の契約よりも貸主にメリットのある契約になっています。ただし、取り扱っている賃貸管理会社は少ないため、賃料査定の際にあわせて確認してみると良いでしょう。
入居者を見つけるためには適切な家賃設定が欠かせません。
転勤中の賃貸はあらかじめ契約期間を定めて行う「一時使用賃貸借契約」や「定期借家契約」となるため、一般的な賃貸に比べて借主にとって不利な条件となります。その分家賃を下げて、割安な物件として募集することが一般的です。
また、賃貸条件とのバランスも重要です。ペット禁止や禁煙などの条件を多くつけすぎることも入居希望者から敬遠されます。逆にグランドピアノを置ける、設備が非常に優れているなど、他の物件にはない強みがあれば、これらを加味することもできます。
転勤期間中の賃貸の事例はそれほど多くはありません。リロケーション会社と呼ばれるこのような事例を多く取り扱う実績ある会社への賃料査定を依頼することで、転勤時の賃貸の適切な家賃を知ることができます。
賃貸借契約では、借主に原状回復義務があります。
原状回復義務は、借主が入居中に故意または過失によって壊したものに関して、借主の費用負担で修繕しなければならないということです。
賃貸前の記録を残しておくことで、賃貸条件が守られなかったり、賃貸前には正常に使用できていた設備が破損していたりした場合に、借主に費用を請求しやすくなります。
転勤時に賃貸を行う場合は、自ら管理を行うことは難しいため、賃貸管理会社の利用をおすすめします。
転勤中の賃貸においては賃貸借契約や家賃設定など、さまざまな注意点があります。転勤中の持ち家の賃貸管理を専門とするリロケーション会社に任せることで、これらの注意点を押さえることができます。
「リロの留守宅管理」は転勤中の持ち家の賃貸管理において40年もの実績があります。これまでの実績にもとづいた転勤者のためのオリジナルプランもご用意しております。賃貸を検討する場合は、どのくらいの家賃収入が得られるのかということも重要なポイントですので、まずは賃料査定をしてみることをおすすめします。
メリット
デメリット
売却の最も大きなメリットは、売却により現金収入を得られることです。住宅ローンの返済に充てたり、赴任先での生活費に充てたりすることができ、不動産として保有しておくよりも資産の自由度が上がります。固定資産税や都市計画税など、持ち家を所有しているだけでかかる費用から解放されます。
一方、売却の際には、仲介手数料や登記費用、売却益が出た場合には譲渡所得税など、様々な費用も発生します。特に譲渡所得税は所有期間が5年を超えているか否かで税率が変わるので注意が必要です。また、売却してしまった物件を買い戻すことは難しいため、家に愛着がある場合は売却ではない選択肢を選ぶことをおすすめします。
売却の流れは次の通りです。
まず、いくつかの不動産会社に査定を依頼し、その中から売却活動を依頼する不動産会社を決め、媒介契約を締結します。
ポータルサイトへの広告掲載や内覧などの売却活動を行います。
買主が見つかったら、売買契約を締結します。
媒介契約は、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。一般媒介契約以外の契約を結んでしまうと、その会社以外には売却の依頼をすることができません。
複数の不動産会社を競争させて早期売却を目指すのであれば一般媒介契約がおすすめです。ただし、各不動産会社へ個別に連絡しなければならないため、やり取りが煩雑になります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約では1社とのやり取りで済むため、仕事が忙しく持ち家の売却のために割ける時間が少ない方は専任媒介契約がおすすめです。
売却活動開始から契約締結までは平均して3ヶ月程度です。売却準備から引渡までは平均6ヶ月程度となっています。早期売却を目指すのであれば、早めに動くことが重要です。
売却活動においては、購入希望者に家の中を見てもらう内覧を行います。在住内覧といって、居住中の家を見てもらうこともできるので、早期売却を目指す場合は引越し前から売却活動を始めるとよいでしょう。なお、引越後の内覧は不動産会社に任せることができます。
住宅ローンを支払い中の持ち家を売却する場合は、住宅ローンを一括返済しなければなりません。
売却金額で賄えるアンダーローンの場合は問題ないですが、売却金額が住宅ローンの残債を下回るオーバーローンの場合は自己資金を用意しなければなりません。
売却価格を設定する際に、住宅ローンの残債を確認しておきましょう。
住宅ローンを利用している方は、あわせて住宅ローン控除を利用している方も多いでしょう。
住宅ローン控除は、控除を受ける年の12月31日まで居住していることが条件となっているので、退去のタイミングには注意が必要です。
また、売却時に利用できる「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」「マイホームを売ったときの特例」などは住宅ローン控除との併用に制限があります。特例の適用を受けようとしている場合は、事前に要件をよく確認しておきしょう。
転勤時に持ち家をどうするか決められない場合は、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
ただし、不動産会社もさまざまで、売買や賃貸などの不動産取引全般を扱う大手の不動産会社から、賃貸仲介を専門とした地域密着型の不動産まで、会社によって扱っている内容は異なります。
一括査定サービスは便利ですが、「賃貸」と「売却」それぞれで分かれていることが多く、「売却はできても、賃貸は扱っていない」といった会社を紹介される可能性もあります。少し手間ではありますが、「賃貸」と「売却」など検討している選択肢を扱っているかどうか、各不動産会社のHPなどで確認してから個別に相談するのがよいでしょう。
当社「リロの留守宅管理」では、「空き家管理」「賃貸」「売却」を取り扱っております。「賃貸」と「売却」の両方で募集して条件の良い方にする、「賃貸」の入居者が決まるまでは「空き家管理」を行って持ち家を維持する、といった対応が可能です。
転勤時の持ち家の扱いについて、5つの検討ポイントと4つの選択肢をご紹介しました。
【5つの検討ポイント】
【4つの選択肢】
ひとくちに転勤と言っても、赴任先や会社の制度、家族構成によってその状況は大きく変わります。転勤中の持ち家をどのように扱うのかについては、それぞれの選択肢のメリット・デメリットをよく確認し、決めきれない場合は、不動産会社に相談してみましょう。
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