一軒家の賃貸は、ワンルームと比べると難しい側面があります。
理由としては一軒家のターゲットとなるファミリー世帯は、総じて賃貸需要が弱いからです。
ただし、一軒家の賃貸でも、対策次第で借主は見つけられるようになります。
一軒家の賃貸で借り手がつかない場合には、原因をしっかり把握し、適切な改善策を施していくことが望ましいです。
一軒家で借り手をすぐに見つける改善策には、どのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、「一軒家の賃貸で借り手がつかない理由」をテーマに一軒家を賃貸しやすい客層やどのようにすれば借り手がつくかの対策を解説します。
最初に一軒家の賃貸で借り手がつかない理由について解説します。
外観が古いことも一軒家に借り手がつかない理由の一つです。
外壁や屋根のダメージが激しく、外壁にヒビが入っていたり、苔に覆われている箇所が目立つような場合は、物件の紹介や内見もされにくいです。
また、ライトがつかない、雨どいが壊れているなども借り手がつかない理由になるので注意しましょう。
借り手がつかない理由として、一軒家が不便な場所にあるという点が挙げられます。
一軒家は、往々にして駅から徒歩10分を超えた場所に立っていることも多いです。
賃貸需要は便利な場所に偏在しますので、物件が最寄り駅から離れており、利便性が劣る場所にある場合には基本的に賃貸は難しいといえます。
借主は、駅に近くて利便性の高い場所にある物件に奪われている可能性があります。
家賃が高いことも、借主がなかなかつかない理由の一つです。
一軒家はワンルームと比べると専有面積が広くなるため、必然的に家賃の総額が高くなります。
一軒家に限らずファミリータイプの物件は、賃貸よりも購入の方が月々の住居費の支払いが安くなることが多いです。
そのため、ファミリータイプは賃貸需要よりも購入需要の方が強くなり、基本的に貸しにくくなっています。
引き渡し時期が悪いと、借主がなかなか見つからないことが多いです。
一軒家はターゲットがファミリー層となるため、子供の新学期に合わせて引っ越すニーズが強くなります。
借主が決まるのは2~3月がピークとなり、4月以降になると賃貸需要が急激に弱まることもあります。
そのため、4月に入ってから入居者を募集するようなケースでは、借り手がつかないことも多くあります。
壁や柱の汚れや傷、内装や設備が古いことも、借り手が決まりにくい理由の一つです。
特にバスやキッチン、トイレ等の水回りの設備が古いと、借主が決まりにくくなるケースが多いといえます。
また、TVモニター付きのインターホンが設置されておらず、セキュリティ性能が低いと感じられる物件も借主が決まりにくくなります。
借主がなかなかつかない物件は、広告が十分に行われていないこともあります。
近年は、借主がインターネット上の不動産ポータルサイトで物件を見つけて申し込む流れが一般的です。
不動産ポータルサイトとは、物件広告のことを指します。
不動産ポータルサイトには大手が3社あり、大手3社のサイトには全て広告が載っていることが望ましいです。
管理会社によっては、広告が1つのポータルサイトにしか載っていないこともあります。
広告の掲出量が少なければそれだけ入居希望者の目に留まる機会が減るため、借主が決まりにくくなります。
また、ポータルサイトは物件数も多いことから、類似物件と競合する可能性も多くあります。
このことから、信頼できそうな賃貸管理会社に直接連絡を取り周辺相場を加味しながら、どれ位の家賃収入が見込めるか「賃料査定」を依頼した方が、色々なアドバイスも受けられて早く借り手が見つかるかもしれません。
一軒家には、アパートや賃貸マンションのファミリータイプにはない強みが存在します。
一軒家の賃貸を求めている人は、一軒家特有の魅力を感じて借りるファミリー層や夫婦2人でも互いに在宅勤務のため部屋数が必要な場合が多いです。
借り手がなかなかつかない物件は、あらためて自分の一軒家の強みを洗い出し、適切にアピールしていくことが求められます。
この章では、一軒家を賃貸するニーズや客層とアピールすべきポイントについて解説します。
一軒家には駐車場や庭があることで、賃貸を希望する人がいます。
一軒家の賃貸では、駐車場代は別途発生しないことが通常です。
そのため、駐車場代を安く抑えたい人に賃貸ニーズがあります。
駐車場が備わっている一軒家であれば、駐車場はしっかりアピールすべきポイントです。
特に2台以上の駐車場が確保できる物件は、大きな強みとなります。
理由としては、アパートや賃貸マンションで2台以上停められる物件は、ほとんどないからです。
また、広めの庭がある物件も、大きな強みです。
広めの庭があれば、ガーデニングやホームパーティーを開催したり小さな子供を庭で遊ばせることもできますし、大型犬を飼うこともできます。
一軒家は、マンションやアパートのような共同住宅のように下階への騒音を気にしなくて良い点がメリットです。
そのため、小さな子供がいる家庭のようなファミリー層にニーズがあります。
また、隣戸とも接していないことから、日中もあまり騒音を気にせず過ごすことができます。
もし防音室等が備わっていれば、大きな強みになりますのでアピールすることをおすすめします。
一軒家には、アパートや賃貸マンションよりも収納力がある点が強みです。
そのため、荷物が多いファミリー世帯に賃貸ニーズがあります。
戸建ては、各部屋の収納にゆとりがあるだけでなく、階段下収納や床下収納、土間等がある物件も存在します。
また、自転車や子供遊び道具を庭に置いておくことも可能です。
収納スペースが多い物件は、どこに何を置けるかを上手にアピールすることで借主を見つけやすくなります。
一軒家は、リモートワークがしやすい点も強みです。
まず一軒家は3LDK以上の物件が多いため、2LDKのアパートや賃貸マンションに比べると部屋数があります。
また、一軒家は部屋が上下階に分かれており、他の部屋からの音を遮りやすいです。
下の階のリビングで家族がテレビを見ていても、上の部屋でリモート会議に参加するようなこともできます。
さらに、一軒家は通信環境も安定している点が特徴です。
共同回線を使っているアパートや賃貸マンションでは、利用者が多いと通信速度が遅くなることもありますが、一軒家であればそのような心配はありません。
リモートワークがしやすい環境が整っていれば、アピールすべきといえます。
一軒家の賃貸では、住宅以外の用途のニーズもあります。
例えば、一軒家にはデイサービス(通所介護)や訪問介護ステーション、グループホーム(主に認知症者のための施設)、子供食堂等の賃貸ニーズが存在します。
アパートや賃貸マンションでは用途が住宅に限定されていることが一般的であるため、事業者が物件を借りることができません。
一方で、一軒家は単独住戸であることから、貸主さえ了承すれば事業者に貸すことができます。
事業者への賃貸でも構わないと考えている方は、「事業用途可」とアピールすることをおすすめします。
一軒家で借り手を見つける改善策について解説します。
借主がなかなかつかない場合には、管理会社を変更することも対策の一つです。
管理会社の変更後、早ければ翌月、遅ければ3~4ヶ月後に効果が現れます。
不動産会社にはそれぞれ得意分野があるため、戸建て賃貸が不得意な会社に管理を依頼していると、借主はなかなか決まりません。
一軒家を貸すのであれば、戸建て賃貸の管理実績が豊富な会社を選ぶ必要があります。
戸建て賃貸は、アパートや賃貸マンションの賃貸市場と比べると、狭い規模のマーケットです。
アパートや賃貸マンションに比べると、物件数もニーズも少ないことから、戸建て賃貸の管理実績がほとんどない管理会社も存在します。
戸建て賃貸の管理実績が少ない会社は、家賃設定を見誤ることもありますし、物件の魅力をアピールしきれないこともあります。
賃料査定を依頼する際は、ホームページで戸建て賃貸にも注力しているかを十分に確認したうえで問い合わせることが適切です。
入居条件を緩和してしばらく様子を見るというのも一つの対策です。
入居条件を緩和の効果は、早ければ2~3ヶ月、遅ければ5~6ヶ月後には現れます。
入居条件の緩和としては、例えば、ペット可や喫煙可のような禁止事項の緩和や事業用可といった用途の緩和があります。
その他にも、外国人歓迎のような借主の属性を広げることも緩和の一つです。
ただし、入居条件の緩和は、間口を広げるため借主も決めやすくなりますが、リスクもあります。
ペット可や喫煙可にすれば、物件の損傷を早めることになりますので、次の入居者を決めにくくなります。
また、事業用にする場合、事業者が大規模な内装工事を行うことも多いため、原状回復できない部分が残ってしまうこともリスクです。
外国人の場合には、油料理を良く行う外国人が住むと、油を流しに詰まらせてしまうというリスクも存在します。
そのため、入居条件を緩和する場合には、リスクとのバランスも考慮しながら許容範囲を決定していくことが適切です。
一軒家は賃貸面積が広いことから、家賃を高く設定しがちです。
そのため、家賃を見直すことも重要な対策となります。
家賃の見直しの効果は、早ければ翌月、遅ければ2~3ヶ月後には現れます。
一軒家はファミリー世帯がターゲットとなりますが、ファミリー世帯の中でも特に物件を購入する前の若い世代が借りることが多いです。
賃貸物件の家賃は、収入の30%未満に抑えることが適切とされています。
例えば、家賃が20万円の場合、年間家賃は240万円です。
240万円を30%で割り戻すと、年収は800万円以上の人でないと借りられないことになります。
実際に一軒家の賃貸では、家賃設定が20万円以上になっている物件もよく見かけます。
しかしながら、20~30代の若い世代で年収が800万円以上の世帯は、それほど多くはありません。
現実的なターゲット層の収入と比較して家賃が高い場合には、家賃を見直すことが適切です。
借主を決めるためには、管理会社に対してAD(広告宣伝費)を多めに支払うことも対策の一つです。
ADとは業者インセンティブとも呼ばれるものであり、自分の物件に優先的に借主をあっせんしてもらうために不動産会社に支払う動機付けの金銭となります。
ADが家賃の1ヶ月分で決まらない場合には、例えば2~3ヶ月分に上乗せすると決まる確率が上がります。
ADを多めに支払うことによる効果は、早ければ翌月、遅ければ2~3ヶ月後には現れます。
戸建て用の宅配ボックスを設置することも、対策の一つです。
宅配ボックスを設置することによる効果は、早ければ2~3ヶ月、遅ければ5~6ヶ月後には現れます。
近年は共働き世帯が増え、かつ、インターネット通販を利用する人も増えたことから、不在時に荷物を受け取れない場面が多くなりました。
宅配ボックスはもはや必須のアイテムですので、ない場合には設置することをおすすめします。
バスとトイレ・キッチン等の水回りを交換することも効果的な対策となります。
水回りの交換による効果は、早ければ2~3ヶ月、遅ければ5~6ヶ月後には現れます。
一軒家はファミリー世帯がターゲットとなることから、バスの追い炊き機能は必須です。バスには、浴室乾燥機もあった方が望ましいといえます。
キッチンに関しては、システムキッチン(シンクやガスコンロ等が一体化したキッチン)は必須です。
ガスコンロは3口以上が望ましいといえます。
トイレは、温水洗浄便座が付いていることが必須です。
賃貸物件のポータルサイトでは水回り設備の条件での絞込が可能です。
高機能の設備を導入することで、より多くの入居希望者の候補物件として残ることができるでしょう。
一軒家は賃貸マンションと比べると防犯性が低いことから、防犯性を高めるリフォームを行うことも効果的な対策です。
防犯性を高めるリフォームによる効果は、早ければ2~3ヶ月、遅ければ5~6ヶ月後には現れます。
例えば、TVモニター付きのインターホンを付けたり、庭に夜間時に反応する人感センサーライトや防犯カメラを付けたりすることが、防犯性を高めるリフォームとなります。
一軒家は敷地内に侵入しやすく窓なども多いことから空き巣に狙われやすいため、外からも見てわかるような防犯対策を行うことが効果的です。
以上、「一軒家の賃貸で借り手がつかない」をテーマに解説してきました。
一軒家の賃貸で借り手がつかない理由としては、「不便な場所にある」や「家賃が高い」、「設備が古い」等があります。
一軒家賃貸には、「駐車場や庭がある」や「収納力がある」等の強みがあり、該当するものがあれば広告でしっかりアピールしていくことが望ましいです。
一軒家で借り手を見つける改善策としては、「管理会社を変更する」や「入居条件を緩和してしばらく様子を見る」、「家賃を見直す」、等があります。
借り手がつかない一軒家をお持ちの方は、参考にしていただけると幸いです。
カテゴリ:家を貸す 関連記事
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