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更新日2023年12月20日

転貸借とは?転勤時に家を貸すなら知っておきたい仕組み

転貸借とは?転勤時に家を貸すなら知っておきたい仕組み

転勤時の留守宅を賃貸する際に用いられているリロケーション。このサービスでは、よく転貸借という仕組みが用いられています。しかし、この言葉は一般的な賃貸契約ではあまり見かけない言葉です。そこで今回は、転貸借に関する基礎知識についてご紹介します。

転貸借とは?

転貸借とは、借りたものを他の誰かに貸す行為を指します。いわゆる“又貸し”のことです。たとえばあなたが友人から本を借りて、それを別の友人に貸した場合には転貸借となります。

モラル的に考えても、無断で又貸しをするのは気持ちのよいものではないと思いますが、民法612条でも、賃借人が賃貸人の承諾を得ないまま賃借物を転貸することは禁止されています(無断転貸借)。これに反した場合、賃貸人は契約の解除が行えます。

ただし、上記はあくまで“賃貸人の承諾を得ないまま”ということ。つまり、貸し手側が又貸しを認めるのであれば、転貸借が可能になります。

転貸借における貸主・借主・転借人の関係

転貸借がどのように成り立つか、契約当事者間の関係性から説明していきましょう。リロケーション会社を賃貸管理会社として利用し、転貸借契約を締結する場合を説明していきます。契約の当事者は次の3名です。

◆ 物件の所有者(A):貸主
◆ 賃貸管理会社(リロケーション会社)(B):借主1 / 貸主2(転貸人)
◆ 物件の入居者(C):借主2(転借人)

転貸借における貸主・借主・転借人の関係

転貸借が行われるとき、まずは、物件の所有者(A)と賃貸管理会社(B)との間で賃貸借契約が結ばれ、物件は賃貸管理会社(B)に貸し出されます。

その後、賃貸管理会社(B)と物件の入居者(C)との間でも転貸借契約が結ばれることで、入居者が物件を利用できるようになります。

重要な点は、物件の所有者(A)と物件の入居者(C)の関係です。賃貸物件では、大家と入居者との間で賃貸借契約が結ぶことが一般的です。しかし転貸借では、物件の所有者(A)と物件の入居者(C)の間で直接の契約はありません。

転貸借は物件の所有者(A)と賃貸管理会社(B)、物件の入居者(C)という賃貸管理会社(B)を介した三者間における2つの賃貸借契約で成り立っています。

代理委託契約について

転勤中の賃貸であるリロケーションでは、転貸借の方式を用いていることが多いです。一方で、賃貸管理サービスが求められるのは転勤時のみではありません。そうしたときには、転貸借のサービスだけではなく、代理委託と呼ばれる方式で提供されている賃貸管理サービスが多く用いられています。

この場合の当事者の立場や関係性は次のようになります。

◆ 物件の所有者(A):貸主(委託者)
◆ 賃貸管理会社(B):業務委託先(受託者)
◆ 物件の入居者(C):借主

代理委託における貸主・借主・賃貸管理会社の関係

代理委託方式は借主と貸主が賃貸借契約を締結します。その後、物件の所有者(A)と賃貸管理会社(B)でも管理委託契約を締結します。賃貸管理会社(B)が中心となり、他二名と契約を結ぶのが転貸借でしたが、代理委託の場合には、物件の所有者(A)が中心となり、賃貸管理会社(B)、物件の入居者(C)のそれぞれと契約を結びます。ただしこのときに物件の所有者(A)が賃貸管理会社(B)と結ぶ契約は賃貸借契約ではなく、必要な業務を任せるための委託契約となります。

転貸借方式と代理委託方式それぞれのサービスの違い

転貸借方式か代理委託方式かに依らず、賃貸管理サービスであれば提供されるサービスの内容は概ね一致することが考えられます。

いずれのサービスも、入居者の募集、家賃の回収、入居者からの問い合わせ対応、解約時の立会い、精算、これら賃貸運営に必要な業務を委託できます。しかし、両方式には「賃貸借契約を誰と誰が結ぶか」という違い以外にも、いくつかの差異が存在しています。

転貸借で提供されるサービスには、代理委託方式との違いについて次のようなことが言えます。

基本的に一通りの業務がサービス内で行われる

代理委託方式の場合でも広い業務範囲を提供するサービスはありますが、その範囲はサービスによってまちまちです。賃貸管理会社が物件を貸主から借りる転貸借では、一つの総合的なサービスで賃貸管理全般を任せられる場合が多いです

保証サービスが充実する傾向にある

転貸借のサービスはリスクや手間を軽減し、転勤時などより簡単に賃貸運営を実現する目的で多く利用されます。そのため、それらの中には賃貸運営に伴うリスクを軽減するための各種保証サービスが充実しているものも多いです。入居者から支払われなかった賃料や、設備修繕の費用などを、直接借りている賃貸管理会社が支払うことや立て替えてあとから精算することも行われやすいです。

賃貸の当事者でなければできないことが賃貸管理会社によって行われる

転貸借の特徴はやはり、賃貸管理会社が借主であり貸主という、実際に賃貸借契約を結ぶ立場にいることです。そのようになっていることで、貸主から賃貸管理会社には借主であることの責任を課すことができ、賃貸管理会社は転借人である入居者に対して、貸主としての権利を直接的に行使できるようになります。代表的なものとしては訴訟があります

転貸借のメリットは?

代理委託方式の場合、賃貸物件の管理は不動産管理会社が行ってくれます。しかし、何らかのトラブルが発生した場合は契約者が当事者となるため、オーナー様ご自身が問題に対処しなくてはなりません。また、最悪の場合は裁判に発展するケースも考えられます。

一方、転貸借の場合は不動産管理会社と入居者とが契約を結んでいます。そのため、オーナー様は当事者にはなりません。一方、不動産管理会社には重たい責任が求められます。転貸借の場合、リロケーション会社が家賃滞納者に対して家賃催促を行ったり、明渡訴訟などを行ったりといったことが可能になります。また、訴訟対応(たとえば入居者が敷金返還などの訴訟を起こした場合など)も行えます。

転貸借が使われているシチュエーションは?

次に、転貸借が活用されている場面についても紹介します。たとえば不動産会社が建物をオーナー様から一括借り上げし、それを第三者に転貸するサブリースはその代表例です。なお、そもそもサブリース自体が「転貸」を意味する言葉です。ただし日本では、不動産会社が提供するサービスの総称としてよく知られています。

転貸借とサブリースの違いは?

「サブリース」も転貸借同様「借りたものを誰かに貸すこと」を指しています。「サブリース」は近年サービス名として広く普及したことで「転貸」とは異なる特別な意味を含めて用いられる場合があります。

「サブリース」と呼ばれるサービスの中には、転貸に伴い、入居者が入らずに本来賃料が得られない期間の賃料を、直接の借主が保証する「空室時の賃料保証」を伴うサービスが多く存在し、この保証を含む「サービス」を指して特別にサブリースと呼ばれている場合が多いです。

一方で、そうした「サブリース」と区別する意味もあり「転貸」という言葉は、単に「又貸し」の仕組みのみを指して用いられる場合が多いです

リロケーションでもよく使われる転貸借

リロケーションでも転貸借はよく用いられている契約方法のひとつです。ただし、代理委託が使われるケースも少なくありません。

転貸借を用いたリロケーションのメリットとしては、前述のとおりリロケーション会社が契約当事者となるため、最後まで責任を以て対応してくれるという点が代表的です。自宅を貸し出すオーナー様も安心でしょう。

なお、代理委託の場合、間に入る不動産管理会社はあくまで代理の立場。何か問題が起こった場合、当事者はオーナー様と入居者になります。不動産管理会社もある程度は動いてくれますが、契約上、決められた権限しか行使できません。リロケーションにおける契約形態を決める際は、こうした点を覚えておきましょう。

まとめ

このように、転貸借にはさまざまなメリットがあり、かつリロケーションにはぴったりな契約方法です。当社の場合にも、転貸借を利用したリロケーションサービスをご用意し、お客様からのご相談をお待ちしております。もちろん、ご相談内容次第では、リロケーションや転貸借を含む、さまざまなご提案を差し上げますので、まずは一度お気軽にお問い合わせください。

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