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更新日2023年7月31日

家を貸すときは火災保険に入るべき?

家を貸すときは火災保険に入るべき?

リロケーションなどで家を貸す際には、火災保険に加入しているかどうかを確認しましょう。未加入の状態で賃貸すると、万が一の際に多大な損失を被る可能性があります。今回は、家を貸す際の火災保険について解説します。

住宅ローン返済後のリロケーションでは火災保険の未加入に注意

住宅ローンでマイホームを購入している人のほとんどは、火災保険に加入しています。これは住宅ローンを組む際に、融資先である金融機関から、ローン完済日までの期間について火災保険へ加入していることを多くの場合で求められるからです。

住宅ローンを完済するまでの間、その融資で購入した不動産には金融機関によって抵当権が設定されます。つまり、金融機関は不動産を担保にすることで、住宅ローンの滞納や貸し倒れに対するリスクを軽減しているのです。

しかし、万が一建物が火災によって焼失してしまった場合、担保となる不動産の価値が一気に下落してしまいます。この状態で融資をし続けるのは金融機関にとってリスクしかありません。そのため、債務者に対して一括弁済などを求めることになるのですが、回収は困難と予想されます。そこで、火災保険に加入してもらうことにより、不測の事態に備えているのです。

リロケーションの際も、火災保険の加入は強く推奨されます。すでに住宅ローンを完済している場合であっても、何らかの保険に加入していることが多いと思いますが、住宅ローンの利用時に加入した保険の更新を行わずに未加入状態となっているケースも考えられます。家を貸すと決めた段階で、必ず現在の加入状況を確認しましょう。

リロケーションを利用する際には、火災保険への加入が強く推奨されます。家を貸すと決めた段階で、必ず現在の加入状況を確認しましょう。

貸主が火災保険に加入する理由は?

「家を貸すときは、入居者が各種保険に加入してくれるので、貸主は不要なのでは?」と、考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、貸主が火災保険に加入していないと、万が一の際に大きな損害を被ることになります。以下で、その理由をご紹介します。

空室時の対策として

まずはリロケーション中の空室時の問題です。入居者がいない部屋では火災は起こりえないと考えられがちですが、実際には隣家の火災にも注意をしなくてはなりません。

火災の責任に関する法律である「失火責任法」では、重大な過失が認められない場合、火元の隣家に対しての賠償責任が免責になると定められています。つまり、隣の家で火事が起こったことで自宅に被害が及んでも、その修繕費は貸主の負担となってしまうことがあるのです

また、火災による被害は隣家からのものだけとは限りません。たとえばマンションの上の階で火災が起こった場合です。隣家から燃え移ることに比べれば、延焼などの可能性は低くなるかもしれません。それでも、消火活動によって、上の階の水が下層階へと流れ込むことなど、被害を受ける可能性は十分に考えられます。自宅が水浸しになってしまうことがあり、その賠償は請求できないことがあります。

入居者加入の保険の適用条件

次に、入居者がいるときのケースを考えてみます。リロケーションに限らず、賃貸契約を結んで部屋を貸す際には、入居者に対して「借家人賠償責任担保特約付き家財保険」への加入を求めるのが一般的です。

しかし、この保険の適用条件は、あくまで入居者本人の不注意による出火に限定されます。つまり、前項と同様、隣家で発生した火災による延焼といったケースでは、出火元である隣人に対して損害賠償を請求できません。そのため、貸主による負担で修繕を行わなくてはならなくなる可能性があります。

火災保険未加入の状態で上記のようなトラブルが発生すれば、貸主には多大な修繕費用の負担が重くのしかかります。貸主自身が居住しているかどうかにかかわらず、火災保険への加入は不動産を持つ人にとって必須と言えるでしょう。

火災の原因は入居者の注意で防げないものも多い

最後に、火災に関する調査報告についてもご紹介しておきましょう。平成30年度版の消防白書によると、平成29年における出火の原因は以下のようになりました。

出火原因(上位5つ)

たばこによる出火がもっとも多い原因です。ただし、「放火」と「放火の疑い」を合計すると、たばこを大きく上回ります。放火による火災は、入居者に一切の過失はないと考えられます。犯人が捕まらない限り、貸主の保険を使わざるを得ない状況が予想されるでしょう。

また、たばこやコンロといった出火原因は状況によって過失の程度が異なります。たとえば隣家からの出火原因が寝たばこの場合は重過失に該当するため、損害賠償を請求できる可能性が高いでしょう。一方、出火原因が軽過失に該当する場合には、損害賠償請求が行えないこともあります。

このように、入居者が注意を払っていたとしても、もらい火によって家屋が損傷する可能性は十分にあり得ます。その際に備えて、貸主も火災保険に入ることが必要なのです。

まとめ

貸主が火災保険に加入すべき理由についてご紹介いたしました。住宅ローンを返済中の場合は義務として加入していることが多いのでそこまで注意をしなくても問題にならないことの方が多いでしょう。しかし、これから家を貸そうというときには、それらの人で加入しているか不安な人も含めて、すでに住宅ローンを返済し終えている、もしくは現金一括で住宅を購入した人であれば特に注意して、火災保険に加入できているかを確認しておきましょう。

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