海外赴任や海外転勤の任期終了が近づき、帰国の日程がある程度決まったなら、出発・着任準備と同様に、帰国準備にも計画性をもって早めに取りかかることが賢明です。ここでは、「帰国準備の計画の立て方」、「現地および帰国後の住まいの手続き」、「生活やお金に関する各種手続き」についてご紹介しましょう。
まずは、帰国に必要な準備作業をリストアップして全体像を把握し、帰国日から逆算して準備作業のスケジュールを組むことから始めましょう。準備作業のリストは、「住まい・生活」「職場関係」「役所・銀行への手続き」「学校」「引越し」などの大項目で分類し、作業終了日を記入できるようにしておくと便利です。リストとスケジュールは家族で共有し、協力しながらコツコツと進めていきましょう。
海外赴任・転勤先で借家やアパートなどを賃借している際は、不動産業者に明け渡し日を伝え、賃貸借契約の解約手続きを進めます。各国事情によっては途中解約が認められなかったり、解約の何日前に通知しなければならないなど様々な取り決めがあるので、契約条項を確認し、早めに通知するようにしましょう。
また、契約および解約時の書類はコピーし、帰国後も保管しておくようにしましょう。日本と同様に明け渡し時には検査を経て鍵を返却することになりますが、その際にも、鍵を受け取ったことを示す受取書を必ず発行してもらいます。
このように、何か不備等があったときの備えとして、契約・解約、明け渡しの旨を書類で証明できるようにしておくことが、とくに海外では重要になります。
一方、海外赴任・転勤先の住まいの手続きとともに、帰国後の日本での住まいの手配も進めます。赴任・転勤中、リロケーションの各種サービスを活用し日本の持ち家やマンションの賃貸および留守宅管理を依頼している場合には、リロケーション会社・管理会社と手続きを行います。この手続きの進め方等については、「住まいの帰国準備①~リロケーション解約~」にて詳しく解説します。
役所や銀行、クレジットカード会社、電気・ガス・水道会社などへの手続きも、一つずつ確実に進めていきましょう。
赴任国の日本大使館・領事館での手続き
赴任国での公的手続き
国によって異なりますが、一般的には以下のような手続きが必要です。
海外赴任中の所得には、各国規定の所得税が課せられます。帰国の際、未納所得税の申告・納税が必要です。申告手続きは、帰国時申告または帰国後申告など各国で異なります。帯同家族に収入があった場合も、同じく手続きが必要です。
※海外勤務に対して支給される給与に日本の所得税は課税されませんが、日本法人の役員報酬がある場合や給与所得以外で20万円超の所得がある場合、帰国翌年2月中旬、日本での確定申告が必要です。
帰国後に漏れが判明してから手続きするとなると、多くの手間と費用がかかってきます。勤務先にも確認して、必要な手続きを行いましょう。
生活インフラの解約
電気・ガス・水道・新聞・電話・インターネットなど生活に関わるインフラについては、住まいを明け渡す日まで使用することになりますので、その旨を各社に伝えたうえで解約手続きしましょう。
郵便局への転居届、転送依頼
海外転送ができない場合もあるので、その際は勤務先や現地の知人宅を指定して転送を依頼しておきましょう。
銀行口座の変更手続
現地の銀行口座については、預金残高を確認し、帰国後もクレジットカード等の引き落としや入金などが発生する場合に備え、住所を勤務先に変更したうえで、しばらくはそのままにしておくほうがいいでしょう。また、現地で加入したクレジットカードについては、日本で改めて手続きを行う必要があります。国によっては継続できないこともありますので、事前に確認しておきましょう。
解約となる場合、必要に応じて日本の銀行への送金や現金に換金するなどの対応が必要です。日本円に換えて送金する際、金額が大きい場合は、レートによって受取金額にかなり影響します。外貨受け入れ可能な口座があれば、外貨のまま送金することで、レートの良いタイミングで日本円に交換できます。現金や小切手で持ち帰る場合、通貨の持ち出し制限金額の設定などの確認が必要です。いずれにしても、日程に余裕をもって、現地と日本の銀行に確認しながら手続きを進めましょう。
その他、車などリースしているものの解約・返却、駐車場、雑誌の定期購読、宅配の定期購入、メイドやベビーシッターなどへの解雇通告も、帰国日に合わせて早めに済ませておきましょう。
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