公務員の副業は法律によって禁止されていますが、マンションを賃貸することに関しては一部例外を除いて可能です。今回は、転勤などの際に、自宅マンションをどう扱うかでお悩みの公務員の方に向けて、マンションの賃貸およびリロケーションの基礎知識を解説します。
まずは公務員の転勤事情について触れていきます。国家公務員と地方公務員で状況が大きく異なるのが特徴です。
国家公務員は、全国各地への転勤があります。とくに出世するタイミングで辞令が下りるケースが多いようです。本省と地方の出先機関との異動を繰り返す傾向にあり、数年単位で引っ越しが必要になる場合があります。なお、とくに転勤が多い業種として技術職が挙げられます。一方、事務職の転勤は比較的少ないようです。
次に地方公務員の転勤についてですが、遠方への転勤はほとんどないと考えられます。これは、職種的に地域に根ざした仕事が多くなるためです。なお、転勤になった場合でも、勤務先はほぼ同じ都道府県内になり、最長期間も11年とされています。
上記のとおり、国家公務員の場合は、本省と地方を行き来する関係から、転勤になった場合も元の家に戻れる可能性が高いと考えられます。その都度マンションを購入・売却するのは手間がかかりますし、費用もかさんでしまいます。そのため、転勤の辞令が出た場合には、単身赴任をするか、マンションを賃貸するのが一般的と考えられます。
一方、地方公務員の場合は近場の転勤となることも多く、勤務先が変わったとしても自宅から通える可能性が高いです。ただし、通勤時間があまりに長くなるような場所への転勤となった場合は、引っ越しが必要になるケースもあります。ただし、その後同じ都道府県内に転勤することが予想されるため、自宅に戻ってこられる可能性も高いです。こういった事情を踏まえると、まずは賃貸を検討されるのがおすすめです。
次に、公務員が自宅マンションを貸し出せる理由について解説していきます。
公務員は副業が法律によって禁止されているためアルバイトに就いたり、自営で事業をはじめたりして定期的な対価を得ることはできません。理由は、以下の3原則によって示されています。
● 信用失墜行為の禁止(国公法第99条):
本人および所属する職場や公務員自体の信用をなくさないため
● 守秘義務(国公法第100条):
本業で知った秘密を外部に漏らさないため
● 職務専念の義務(国公法第101条):
副業による精神的・肉体的な疲労で本業に支障を出さないため
公務員が副業を行い、そのことが明るみに出た場合は免職や停職、言及、戒告といった罰則が与えられます。これを避けるために副業の事実を隠そうと考える人もいますが、基本的には給与支払い担当者によって気付かれてしまうでしょう。
副業によって得た収入は確定申告が必要です。それによって所得が増えると、伴って翌年の住民税が増えます。給与と税額に大きな開きが出れば、副収入があることが判明するのです。
公務員の副業は原則禁止されていますが、不動産所得については例外とされています。前述のとおり、公務員にも転勤の可能性があります。そのほか、両親から実家を相続したり、離婚によって自宅が不要になったりすることもあるでしょう。にもかかわらず、自宅を賃貸できないというのは、本人の利益を損なう行為と考えられているからです。
つまり、転勤によって自宅マンションに住めなくなった場合は、その不動産を使って賃貸経営をしても副業にはあたりません。上司に報告・相談をする必要はあるものの、基本的には認められているものと考えておきましょう。
ただし、賃貸経営の一切を認めた場合には、大規模な事業をはじめる公務員が出てくる可能性もあります。そのため、公務員が賃貸経営を行う場合は、以下の条件が設けられています。
※5棟10室以上の規模であっても、申請して許可が下りれば経営は可能
公務員が将来的に戻ってくる予定の自宅マンションを賃貸するのであれば、リロケーションの活用がおすすめです。転勤中の留守宅はリロケーション会社が賃貸管理を行うため、前項の条件のひとつである「不動産会社への管理委託」がクリアできます。
なお、賃貸物件で用いられる普通借家契約に比べ、リロケーションでは一時使用賃貸借契約もしくは定期賃貸借契約が用いられます。これらは更新のない賃貸借契約であるため、期間満了時には原則契約が終了。スムーズにマンションを明け渡してもらえることがメリットです。
公務員にとっても転勤は他人事ではありません。その際、副業が認められていない公務員にとって自宅マンションをどう扱うかは悩みどころです。しかし、マンションの賃貸は副業とは見なされませんので、十分選択肢になりえるのです。転勤を控えている公務員の方は、ぜひリロケーションを含めたマンション賃貸をご検討ください。
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