日本で住まいのリロケーション準備を万全に済ませ、いざ海外赴任へ――。とはいえ、慣れない土地で知り合いがいないとなると、何かと不安になるものです。そんなとき、赴任先で心強い支えになってくれるのが、世界各地で組織されている「日本人会」です。
日本人会とは、海外赴任者や永住者、留学生など、海外に長期滞在する在留邦人の交流の場として組織されたコミュニティです。活動内容は、親睦や交流を図るイベントや旅行、スポーツやカルチャーの同好会、チャリティバザー、ホームページやメールマガジン、情報誌等を通じた現地情報の発信、語学教室の運営、現地国の人々との文化交流事業、現地国での社会貢献活動など、各地の日本人会によって様々です。こうした活動に参加することで、現地で暮らす日本人との交流の輪が広がり、プライベートの楽しみも増え、海外赴任の生活がよりいっそう充実したものになることでしょう。
会員には法人会員と個人会員があり、入会金・年会費等の会員になるための条件は日本人会によって異なります。会員の紹介が必要な場合もあります。会員になれば様々な特典を受けることができ、何より日本人同士の横のつながりは代えがたいものとなるはずです。
日本人会のなかには、「一般財団法人 海外邦人医療基金」の援助や運営サポートを受け、在留邦人向けの診療所や医療相談室を開設しているところもあります。同基金事業の第1号として開設されたのは、日本人医師や日本人コーディネーターが在籍するシンガポール日本人会クリニック。同クリニックでは、一般診療、心療内科、言語聴覚療法、鍼治療を行い、健康診断や予防接種、各種検査にも対応。なかでも心療内科の受診患者数は増加し、周辺国からのメンタルヘルスの相談にも応じています。
そのほか、同基金事業として、マニラ日本人会診療所(フィリピン)、ジャカルタ日本人医療相談室(インドネシア)が開設され、ラゴス日本人会(ナイジェリア)や北京協和医院日本人健診センターにも援助協力が行なわれています。
「一般財団法人 海外邦人医療基金」のホームページには、世界各国(都市)の日本人会ホームページへのリンクが集められています。また、各国・地域の情勢や医療事情、厚生労働省の検疫関連情報、感染症疫学情報、法人医療支援ネットワーク、医療(健康)相談・掲示板など海外渡航に役立つリンクも多数あります。
「一般財団法人 海外邦人医療基金」https://jomf.or.jp/link.html
結論から言うと、日本人会への入会は自由です。実際、海外で暮らす日本人で日本人会に入会していない人もいます。ただ、「日本人会会員であること」が日本人学校の入学条件になっている国・地域があるので、そういった場合は入会しなければなりません。そのような必要性がなく、入会するかどうか迷っているなら、以下のメリット・デメリットを参考にしてみてください。
<メリット>
<デメリット>
アジアでは、中国をはじめ、香港、台湾、韓国、タイ、ベトナム、インド、マレーシア、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ネパール、ラオスなどのそれぞれ主要な都市ごとに複数の日本人会が組織されています。アメリカでは、シカゴ、ロサンゼルス、アトランタ、ニューヨークなどの主要な都市や州に日本人会が組織され、カナダにもバンクーバーやトロント、モントリオールなどに日本人会や商工会が活動しています。
ヨーロッパにおいても、イギリス、ドイツ、フランス、デンマーク、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、ベルギー、イタリア、スイス、スペイン、チェコなどに複数の日本人会が存在し、在仏日本人会などでは国外からの会員申し込みも受け付けています。そのほか、中南米、中東、中・東欧、アフリカ、オセアニア、NIS(旧ソ連)諸国にも、国によって日本人会が組織されていますので、ホームページ等で赴任先の日本人会の活動状況を確認のうえ、加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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