日本の自宅をリロケーションで貸し出し、家族揃って海外暮らしを満喫されている間も、休暇等を利用して日本に帰国する機会もあるでしょう。ただ、赴任国が日本から距離が離れているほど、フライト時間は長くなり、心身にかかる負担も大きくなります。負担を少しでもやわらげ、機内で心地よく過ごすコツを紹介いたします。
まず欠かせないのは、ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)対策。長時間同じ姿勢を取り続けていると、血の巡りが悪くなり、血栓ができやすい状態になってしまいます。さらに、上空では気圧や湿度が下がり、体内や血液中の水分が失われやすいことも、血栓をつくりやすい要因です。対策として、機内ではこまめに水分を摂りましょう。とはいえ過度の飲酒は禁物です。尿意を誘発し血液中の水分を減らしてしまいますので、アルコールの摂取は控えることが賢明です。また、1時間ごとに座席で足を上下させながら足首を曲げ伸ばし、できれば席を立って機内を少しでも歩くように心がけましょう。
機内はとても乾燥しやすいため、喉を痛めないために加湿マスクなどを利用しましょう。風邪などの感染対策にもなります。機内の乾燥対策として目薬も必需品です。ビタミンなどの成分が入っているものよりできるだけ涙成分に近いものにしましょう。また、お肌の乾燥予防には保湿成分の高いローションやハンドクリーム、リップクリームなどで乾燥を防ぎましょう。
海外赴任先と日本との間に時差がある場合、到着時に体調を崩さないためには、機内での食事や睡眠のコントロールが重要になります。
機内食のタイミングと体調管理
10~12時間程度のロングフライトの場合、機内食はたいてい目的地の現地時間を考慮したサイクルで2回提供されます。航空会社にもよりますが、一般的に離陸後1~3時間頃に1回目のお食事、その後消灯されます。そして、着陸2時間前ぐらいに2回目のお食事の提供となります。2回のうち1回はしっかりしたお食事で、もう1回はパン・サラダ・ヨーグルトといった軽めのものが用意されています。
決められた時間に食事が提供されるので、お腹が空いていなくて食べられなかったという経験をした方も多いのではないでしょうか?そのせいで中途半端な時間にお腹が空いてしまうことも。事前に航空会社のHPなどで機内食についてチェックしておき、搭乗前の食事を調整するとよいでしょう。特に食欲の我慢が難しい年齢のお子さまが同伴の場合、好きな時間に食べられるようにおやつを用意しておくなどの空腹対策が必要です。
体を現地時間のリズムに合わせるためにも機内食はしっかりと食べることがおすすめですが、満腹なのにもったいないからと無理に詰め込むと体調を崩しかねません。長時間のフライトでは、体調管理を優先させましょう。
ロングフライトの疲れを持ち越さない睡眠のとり方
狭いスペースで長時間同じ姿勢を強いられるロングフライトでは、着衣の工夫も大切です。ファーストクラスではリラックスウエアが準備されているぐらい服装が重要視されていますので、機内では体を締め付けずくつろぎやすい服装を選びましょう。また、機内の温度がご自身の体調に合うとは限らないので、簡単に着脱できる上着、厚手の靴下を持ち込んでおくと便利でしょう。靴を脱いで室内履きスリッパに履き替えるのも、足の疲れや蒸れ対策に効果的です。
機内で睡眠を取りやすくするには、搭乗前に強い日光を浴びることをできる限り避け、機内ではアイマスクを活用し、睡眠を促しやすい状況をつくるとよいでしょう。
トイレのタイミング
ロングフライトでは、トイレのタイミングも重要です。通路側の席の人に気を遣って我慢していると、体調を崩す原因にもなりかねません。また、離陸後ワゴンを使った機内サービスが始まると通路を移動しにくくなります。まずは、搭乗前にできればトイレは済ませておきましょう。
機内食を食べ終える頃が、トイレが混みだす時間帯です。逆に最も空いているのは、食事中の時間帯です。座席が通路側で移動の自由がきくなら、できれば早めに食事を済ませて空いているうちにトイレを利用しましょう。
ご自身の席が通路側でない場合、トイレへの移動に気を遣う方もいらっしゃるとおもいます。一番良いのは、通路側の人が席を立ったタイミングで一緒に移動すること。また、就寝タイムで通路側の人が眠ってしまうと移動しづらくなるので、消灯前後でトイレに行っておくことをおすすめします。体調が悪かったり、お子さまを連れていたりした場合は、早め早めに行くように気をつけましょう。トイレのタイミングが心配な方は、トイレ近くの座席を予約するのも1つの方法です。
上昇・下降時の耳の痛み
気圧の変化で耳が痛くなったら、つばを飲みこんだり、あくびをしたり、飴をなめてみましょう。耳抜き(バルサルバ法)も効果があります。耳抜きのやり方は、まず鼻をかみ、次に息を軽く吸い込み、鼻をつまみ、口を閉じて吸い込んだ息を耳の方へ送り込むようにします。この時、あまり強くやらないようにしてください。最後につばをゴクンと飲みこみます。
鼻水・鼻づまりの症状があったら、鼻の粘膜の腫れにより、耳管が開かなくなり中耳が炎症を起こしてしまうことがあります。事前に治療を受け、点鼻薬を搭乗前・下降前に使用して予防しましょう。
機内エンターテインメントを利用して映画や音楽を楽しむことで、窮屈さを紛らわすことができるでしょう。長距離フライトの場合、映画もオンデマンド方式が主流です。自分のペースで好きな作品を鑑賞できるので、機内での時間をより楽しむことができます。
さらに機内で映画や音楽を楽しむためにおすすめなのは、「ノイズキャンセリングヘッドホン」の利用です。これは、エンジン音などの周囲の騒音を8~9割低減し、快適な音量でクリアな音を聴くことができるという優れモノ。プラグさえ合えば、機内エンターテインメントの映画や音楽も騒音に煩わされることなく快適に楽しめます。
こうした工夫や心がけを実践するだけでも、リロケーション後の帰国がいっそう楽しくなり、日本で過ごす貴重な時間がより充実したものとなるでしょう。
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