海外赴任・転勤先から日本への帰国により荷物を送る際には、輸入規制や通関上の諸手続きをふまえておく必要があります。ここでは輸入規制の内容や通関に必要な書類、通関の手続きについて見ておきましょう。ただし、詳しくは必ず税関からの情報を確認するようにしてください。
≪日本に輸入してはいけないもの≫
◆あへん、コカイン、ヘロイン、大麻、覚せい剤、けしなどの麻薬類、あへん吸煙具
◆拳銃等の鉄砲、鉄砲弾、拳銃の部品
◆通過・証券などの偽造品・変造品・模造品
◆わいせつな雑誌・ビデオテープ・写真・CD-ROMなど
◆偽ブランド商品など知的財産権を侵害した商品
◆特定の動物とその動物を原料とする製品、植物とその包装物など(家畜伝染病予防法と植物防疫法の定めによる)
◆スプレー、マッチ、ベンジン、シンナー、水銀などの危険物
≪輸入規制品≫
◆ワシントン条約で規制されている動植物や加工品・製品
◆鉄砲・刀剣類
◆古美術的な鉄砲・刀剣類(都道府県教育委員会の鑑定が必要)
◆動物検疫が必要となるもの(肉製品、動物の角、羽毛品など)
◆植物検疫が必要となるもの(米、植物の種子、ドライフラワー、生木の彫刻など)
海外赴任・出張先から日本に入国する際の通関には、下記の書類が必要となります。
≪通関に必要となるもの≫
◆パスポート
◆携帯品・別送品申告書
◆梱包明細書(パッキングリスト)
◆海外購入品の領収書(海外赴任・出張先等で購入し、新品とみなされるものがある場合)
◆輸出国の動物・植物検疫証明書(該当するものがある場合)
◆トランクやスーツケース等の鍵(ロックして送る場合)
『携帯品・別送品申告書』は、海外赴任・出張先から帰国の際に飛行機内で配られますので、必ず2枚受け取り、同じ内容のものを2枚作成します。携帯品欄には入国時に携帯品として持ち込む品物を記入、別送品欄には別送した荷物の合計数を記入します。特に酒類・たばこ・自動車・銃砲刀剣類などは正確な個数を記入してください。
日本の空港に到着後、手荷物などの検査を受ける際に税関員に2枚提示します。税関員が確認後、そのうちの1枚が返却されますので、税関の承認印があることを確認のうえ受け取ります。返却された携帯品・別送品申告書は、後日別送品の到着時の手続きに必要となるので、大切に保管しておいてください。承認印を押した申告書の再発行や、日本に入国してから別送品の申告をすることはできません。
別送品の申告を忘れた場合には一般輸入貨物としての手続きが必要となり、海外購入品の領収書を持っていない場合には、品名・価格・購入年月日などを記入した書面を税関長宛に提出します。
郵送以外(航空便・船便荷物の国際宅配便)の場合
1.引越業者を利用する場合
引越業者を利用する場合、基本的には業者が税関との窓口となって代行手続きしてくれます。引越業者に必要な書類を預けたのち、海外赴任・出張先から荷物が届き次第輸入申告・税関による荷物検査などの通関手続きが行われ、輸入許可が下りれば自宅へ配送されます。
2.小口国際宅配便を利用する場合
引越業者の荷物とは別に小口国際宅配便で荷物を送る場合は、自分で通関手続きをしなければなりません。別送する荷物は、箱の表面と送り状に、英語と日本語で「unaccompanied baggage/別送品」と表記し、入国(帰国)者本人を名宛人とします。土産店や小売店などから送る場合にも、必ず表示するよう指示しましょう。この表示がないと、日本で「別送品」扱いとならず輸入通関してしまって免税枠が使えず一般税率が課せられる場合があります。荷造りの際に、箱ごとに詳細内容を記載した梱包明細書(パッキングリスト)を作っておきます。その際、品物の領収書もまとめておき、領収書がない場合は概算購入価格をメモしておきましょう。
日本に荷物が届くと、航空会社などから『貨物到着案内(アライバルノーティス/Arrival Notice)』が送られてくるので、通知のあった航空会社などの窓口で『輸送関係書類(デリバリーオーダー等)』を受け取ります。その後、荷物が届いたエリアを管轄する税関の別送品通関担当部門で別送品の輸入申告を行います。
≪通関に必要となるもの≫
◆パスポート、印鑑
◆携帯品・別送品申告書(入国の際、税関の承認印を受けたもの)
◆輸送関係書類(デリバリーオーダー等)
◆梱包明細書(パッキングリスト)
◆海外購入品の領収書(海外赴任・出張先等で購入し、新品とみなされるものがある場合)
◆輸出国の動物・植物検疫証明書(該当するものがある場合)
(動植物検疫が必要な場合、各税関の最寄りの動植物検疫所などで検査を受けます)
手続きの際には、あらかじめ手続きに必要なものなどを各担当窓口に直接確認してください。
日本に郵送品が届くと、『外国から到着した郵便物の通関手続のお知らせ』が郵送されてくるので、入帰国時に受け取った『携帯品・別送品申告書』をそのお知らせを差し出した税関外郵出張所に提出します。別送品の外装に「別送品」表示がないと、一般郵便物として扱われ「国際郵便物課税通知書」(関税等の納付額や納付手続などを通知する書類)が送られてくることがあります。通知書の発送元の税関外郵出張所に免税適用の可否などを確認したうえで、税金を納付するようにしてください。
税関では、滞在中に現地で使用する目的で購入し使用していたものか、帰国後に日本で使用するまたは販売する目的で購入したものかによって免税対象になるかどうかを判断されることになります。実際に現地で使用したものであっても、中古品の転売目的の輸入とみなされる場合もあります。また、たばこやアルコール類、香水などは一定の条件を満たせば免税扱いになりますが、免税枠を越えている場合には課税されます。海外赴任・転勤の場合、現地で使用するために購入したブランド品や高級家具などもあるでしょう。購入時の領収書や使用した事実が判断できるものを残しておくことをお勧めします。
通関手続きには帰国印の押されたパスポートが必要となりますが、自動化ゲートでは印が押されませんので注意してください。
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