子どもが海外赴任先の学校に馴染んできた頃、親として考え始めておくべきなのは、赴任期間を終えて日本に帰国した後の教育です。環境の違いにスムーズに適応できるか、日本の学習レベルについていけるか、せっかく身につけた外国語をどう活かすか。子どもの将来を考えながら、慌てずじっくりと家族で話し合っていくことが大切です。
先生や友達とのつきあい方、学校生活での決まり事、学習ペース、食べ物など、海外で何年も暮らしていると、子どもたちは現地の習慣や文化に慣れ親しみ、逆に日本に帰国するとカルチャーショックを感じてしまうことも考えられます。
そうしたいきなりの環境変化に戸惑わせないためにも、日頃から会話のなかで日本に戻ってからの学校生活も話題にし、親子で帰国後のイメージを共有しておきましょう。海外での経験がこれからの将来にどれだけ役立っていくか、どんな将来の可能性が開かれているかといったこともアドバイスし、日本への帰国に向けて、まずは親子で“心の準備”をすすめていくことをおすすめします。
海外赴任の期間が長く、日本語の習得や教科学習に遅れが見られる子どもたちの教育のために、千葉大学、お茶の水女子大学、神戸大学など一部の国立大学付属小学校には「帰国子女教育学級」が開設されています。そこでは普通学級での学習に向けて、1~2年間の特別カリキュラムを実施し、帰国後の適応指導を行なっています。
公立・私立にも帰国子女の受け入れに際して特別な配慮等を実施している学校があります。受け入れ体制や通学の負担、予算、環境面、小学校~高校の一貫教育体制など、さまざまな点を考慮のうえ、何より子どもと一緒に実際に学校を見て回りながら、慎重に編入・入学先を選ぶようにしましょう。
海外子女教育振興財団発行の『帰国子女のための学校便覧2021』(毎年10月発行)に、小学校から大学まで日本全国の帰国子女受け入れ校が網羅されていますので、貴重な情報源として何かと役立つと思います。
帰国子女の増加にともなって、海外赴任期間中に身につけた外国語力の保持を目的とした「外国語保持教室」も増えてきています。例えば海外子女教育振興財団の外国語保持教室は、帰国後1年未満で海外の全日制学校で英語またはフランス語による教育を2年以上(小学2年生は文章の読み書きの学習を1年以上)受けている帰国子女、もしくはそれ相当の語学力を持つ小学2年生~高校3年生の帰国子女を対象に、毎週土曜日に90分の授業を実施し、読み書きや会話の力のレベルアップに取り組んでいます。
その他、幼稚園児を対象にしたサマースクール、発音保持のための個人レッスンなどを実施している法人がありますので、子どもの負担やストレスにならない範囲で、こうした教室の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
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