日本の自宅のリロケーション準備とともに、自家用車の処分も早めの行動が大切です。その際、自動車保険に入っている場合は「中断証明書」を発行しましょう。自動車保険の加入者に等級が振り分けられており、その等級によって保険料の「割増率」「割引率」が変わってきます。無事故なら等級が上がっていき保険料が割引される仕組みです。
実は自動車保険には、海外赴任などで保険対象の自動車がなくなるなどの理由で保険の契約を続けられなくなった際、一定の条件を満たし中断期間が10年以内であれば、中断前に適用されていた等級や無事故割引などを帰国後にも引き継げる制度があります。その際に必要となるのが、「中断証明書」です。
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1. 中断証明書の発行に必要な条件
中断証明書の発行は、以下のような方が対象となります。
- 車を売却・廃車して、しばらく新しい車を購入する予定がない方
- 海外赴任・海外留学で、数年間は日本に戻らない方
- 自身は今後運転しないが、将来同居の家族が運転する可能性がある方
妊娠などの理由で、自身が長期間車を使用できない状況の人を対象とする保険会社もあります。ただし、妊娠の場合は中断できる期間が3年というように、別途条件が設定されています。
中断証明書を発行できない方
- 中断する契約の等級が1~5等級(デメリット等級)の方(中断後再契約する場合、デメリット等級のまま引き継ぐ、または6等級からのスタートとなります)
- 中断する契約の等級が6等級の場合で、保険期間の途中で解約する場合、または中断する契約の保険期間中に等級ダウンとなる事故がある場合
※中断する契約の等級が6等級の場合でも、満期と同時に解約し無事故の場合は、7等級で中断証明書を発行できます。
中断証明書発行の際には、契約中断時に以下の条件を満たしている必要があります。
- 中断後の契約に適用する等級が7等級以上であること
(中断前の契約期間中に事故があった場合には、事故の内容・件数により決定された等級) - 契約対象の車を保険の解約日または満期日以前に、廃車・譲渡・売却、またはリース会社に返還したことにより手放していること
または、盗難や火災に遭って手元にない状況
もしくは、車検切れや一時抹消、ナンバープレートを返納している場合
(海外赴任や妊娠などの理由で、長期間車を使用できない状況である場合の特例を設けている保険会社もある) - 海外渡航の場合、中断した契約の満期日または解約日から6カ月以内に出国すること
- 発行を中断日の翌日から13カ月以内に申し出ること(申出期間が5年以内の保険会社もある)
- 中断する被保険自動車が以下の車種であること
・自家用普通乗用車
・自家用小型乗用車
・自家用軽四輪乗用車
・自家用小型貨物車
・自家用軽四輪貨物車
・自家用普通貨物車(最大積載量2トン以下)
・特種用途自動車(キャンピング車)
以上の条件を満たし、適用保険の取扱代理店もしくは保険会社の営業所にて中断証明書を取得しておけば、帰国後の新契約で証明書に記載された等級を引き継ぐことができます。
2. 海外赴任出発前に中断証明書の発行を済ませましょう
中断証明書の発行手続きの際には、以下の書類を用意する必要があります。
- 中断する契約の保険証券(写し)
- 契約の中断および理由が確認できる資料(登録事項等証明書、検査記録事項等証明書、売買契約書、車検証など)
中断証明書は、中断前の契約の満期日または解約日の前に発行することはできません。つまり、保険契約の中断日(=満期日または解約日)から13カ月以内に手続きを行う必要があります。
※5年以内の申出期間を設けている保険会社もあります
3. 海外赴任から帰国後、中断した契約を再開する場合の手続き
海外赴任から帰国後、中断前の契約を中断後の新契約に同じ等級で引き継ぐ際には、以下の条件を満たしている必要があります。
- 有効期限内の中断証明書の提出があること
- 新契約の記名被保険者が中断前の契約の記名被保険者と同じであること
(配偶者または同居人の親族などは同じとみなされる場合があります) - 新契約の自動車の所有者が、中断前の契約の自動車の所有者と同じであること
(配偶者または同居人の親族などは同じとみなされる場合があります) - 新契約の自動車の用途・車種が、中断前の契約の自動車と同じであること
- 新契約の契約期間の初日が、海外赴任の出国日の翌日から10年以内で、かつ帰国日の翌日から1年以内であること
以上の条件を満たしたうえで、手続きの際には以下の書類が必要となります。
- 中断証明書
- パスポートの写し
- 契約の自動車の所有者と用途・車種が確認できる資料(車検証など)
中断証明書を紛失した場合
中断前の保険会社と同じ保険会社で再開する場合なら、ほとんどの保険会社は、証明書を発行したことが確認できれば再発行の手続きなしでも再開が可能です。他の保険会社への乗換などで再発行を希望する場合、中断前の保険会社に再発行依頼すれば再発行が可能です。発行や再開の詳しい条件や手続きに関しては保険会社によって一部異なる場合もあるので、いずれも各保険会社の窓口にお問い合わせください。
「中断証明書」を取得しておけば、帰国後も同じ等級を維持することができます。また、その等級のまま他の保険会社で再開することも可能です。将来ご自身や同居のご家族が車を持つ可能性があるのなら、多少面倒でも手続きしておくとよいでしょう。
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