【徹底比較】自宅の賃貸と売却のメリット・デメリット!選択する際の基準と収益シミュレーションも紹介

平田 翔

【資格】

宅地建物取引士

自宅の活用方法で「賃貸に出すか、売却するか」決めにくいときのポイントは、それぞれの方法で得られる収入や将来的な活用の可能性、管理する手間などを考える必要があります。地域の暮らしやすさも大切です。
本記事では、自宅の賃貸と売却のメリット・デメリットやそれぞれの選択肢が向いている人の特徴、具体的な収益シミュレーションなどを詳しく解説します。
なかなか判断できない方のために、おすすめの選択肢も紹介するので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

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1. 自宅を賃貸に出すメリットとデメリット

自宅を賃貸に出すメリットとデメリット
メリット
  • 家賃収入という安定的な収入源を確保できる
  • 建物の経年劣化を抑制し、資産価値を長期的に保全できる
  • 家の所有権を手放さないため、将来的な居住の選択肢が広がる
デメリット
  • 入居者対応・建物維持などの管理業務の負担が発生する
  • 入居者との間で、家賃滞納や騒音問題、原状回復などに関するトラブルが発生する可能性がある
  • 空室が発生することで収入が途絶える可能性がある

自宅を賃貸することで、安定的な収入を得られる一方、管理業務の負担やトラブル対応の手間などが発生します。
ここでは賃貸活用を検討する際のメリットとデメリットを解説します。

1-1. 自宅を賃貸に出すメリット

  • 家賃収入という安定的な収入源を確保できる
  • 建物の経年劣化を抑制し、資産価値を長期的に保全できる
  • 家の所有権を手放さないため、将来的な居住の選択肢が広がる

毎月の家賃収入は安定的な収入源として、生活費への充当や住宅ローンの返済、将来の資産形成などに役立ちます。また、空き家にしておくと通気性が悪化して湿気が溜まりやすく、急速に劣化が進みます。

そのため長期間自宅を不在にするのであれば、賃貸して使ってもらうことで資産価値を維持することが可能です。また、人が居住することで建物の不具合を早期に発見しやすく、状態が悪化する前に適切なメンテナンスを行えます。

さらに、所有権を保持したまま賃貸活用することで、将来的な選択肢を広く確保できるでしょう。たとえば子育て環境の変化や親の介護など、ライフステージの変化に応じて再び自身で居住するという選択肢も残せます。

1-2. 自宅を賃貸に出すデメリット

  • 入居者対応・建物維持などの管理業務の負担が発生する
  • 入居者との間で、家賃滞納や騒音問題、原状回復などに関するトラブルが発生する可能性がある
  • 空室が発生することで家賃収入が途絶える可能性がある

賃貸経営では入居者の募集や家賃の回収、原状回復費用の交渉など、さまざまな業務が発生します。自主管理する場合は、これらの業務を自分で行う必要があるので、手間と時間がかかります。

入居者とのトラブル発生のリスクも、デメリットの1つです。家賃の滞納や騒音問題、建物の破損など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。自ら対応する場合、時間や手間がかかるだけではなく、精神的な負担にもなるでしょう。

また、借り手が見つからず空室になることもあります。空室が長期化すれば赤字経営になり、固定資産税や火災保険料などの必要経費を自らの貯蓄から補填することになる可能性もあります。

ただし、これらのデメリットは、賃貸管理会社に管理業務を委託することで解決可能です家賃収入の5〜10%程度の管理手数料が必要ですが、慣れない賃貸管理に時間や手間をかけることなく、自宅を所有し続けられます。空室が続いた場合の様々なアドバイスも受けられるでしょう。

リロの留守宅管理では、海外転勤のような時差や距離によって物理的に管理業務が困難な人におすすめしている「転貸契約(サブリース)」を用意しています。転貸契約は、オーナーの承諾のもと、不動産会社が物件を借り上げて又貸しを行う契約方法です。これにより入居者とのトラブル対応は不動産会社が担当し、オーナーは安定した賃料収入を得ながら、物件管理の負担を軽減できます。

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2. 自宅を売却するメリットとデメリット

自宅を売却するメリットとデメリット
メリット
  • 物件価値に応じた売却代金を取得できる
  • 住宅ローンの残債がある場合でも、売却代金で返済できる可能性がある
  • 固定資産税や修繕費、管理費など、所有に伴う固定費がかからなくなる
デメリット
  • 不動産という実物資産を手放すことで、将来的な資産活用の機会を失う
  • 仲介手数料等の費用がかかる
  • 物件の査定から売却完了までに数ヶ月以上の期間を要する
  • 一時的に使用するといった利用もできなくなる

不動産を売却することで大きな資金を得られる反面、将来の選択肢が限定されることになります。必要な費用や売却までの時間、売却後の影響を解説していきます。

2-1. 自宅を売却するメリット

  • 物件の価値に応じた売却益が得られる
  • 住宅ローンの残債がある場合でも、売却代金で返済できる可能性がある
  • 固定資産税や修繕費・管理費など、所有に伴う固定費がかからなくなる

自宅を売却するメリットは、まとまった現金が手に入ることです。例えば、新たに自宅を購入する時の頭金や老人ホームの入居一時金、子どもの教育資金など、大きな支出に対応できる資金を確保できます。また住宅ローンが残っている物件でも、売却価格が残債を上回っていれば一括返済が可能です。

さらに、売却後は固定資産税や都市計画税、修繕費などの維持費用が不要になります。建物は経年劣化により定期的なメンテナンスが必要ですが、売却することでこれらの費用負担から解放されます

2-2. 自宅を売却するデメリット

  • 不動産という実物資産を手放すことで、将来的な資産活用の機会を失う
  • 仲介手数料等の費用がかかり、物件の査定から売却完了までに数ヶ月の期間を要する
  • 一時的に使用するといった利用もできなくなる

自宅を売却するデメリットは、一度売却すると将来的な活用の可能性が完全に失われることです。例えば、不動産を所有しておくことで可能になるのは、以下のような活用方法です。

  • 子どもや孫への相続
  • 賃貸経営への転換
  • 老後の居住選択肢 など

また、不動産価格の上昇による資産価値の増加も期待できなくなり、長期的な資産形成の機会を逃す可能性があります

自宅の売却には、さまざまな費用や時間がかかる点に注意が必要です。費用には、仲介手数料や印紙税・抵当権抹消費用、司法書士への報酬などがあります。さらに、実際の売却完了までには物件の査定や買主との価格交渉・契約手続きなどがあり、3〜6ヶ月程度の期間を要することが一般的です

売却後に同じような条件の物件を再取得しようとしても、不動産価格の上昇や希望する物件の不足により、困難な場合が多いのが現状です。

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3. 自宅の賃貸と売却でそれぞれ向いている人の特徴

自宅の賃貸と売却でそれぞれ向いている人の特徴

不動産の活用方法は、個人の経済状況や家族の希望などによって最適な選択が異なります。ここでは、賃貸と売却のそれぞれに向いている人の特徴を具体的に解説していきます。

3-1.賃貸が向いている人

自宅を賃貸するのが向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 月々の安定的、且つ長期的な収入源が欲しい人
  • 資産を保有しておくことで将来の助けにならないか迷っている慎重な方
  • 海外転勤などで一時的に自宅を不在にする人

賃貸が向いている人の特徴として、一気にまとまったお金を得るより、月々の安定収入を求める人があげられます。
また、将来的に自宅での居住を検討している人にも賃貸をおすすめします。不動産は一度手放して所有権が移ると、あらためて取得するのが困難です。しかし賃貸であれば、所有権は自身にあります。定期借家契約を活用すれば、一定期間後に確実に物件を返還してもらうことが可能です。

契約の種類や契約の内容によっては、海外赴任期間中や子どもの進学までの期間限定で貸し出すといった、柔軟な運用ができます

3-2.売却が向いている人

自宅を売却するのが向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 家の維持に手間や費用をかけたくない人
  • まとまったお金が必要な人

物件の維持管理に時間や労力をかけたくない人には、売却が適しています。賃貸の場合、定期的な修繕やメンテナンスに入居者対応など、さまざまな管理業務が発生します。不動産会社に管理を委託する場合でも、維持管理の費用負担は避けられません。このような負担を避けたい人には、売却という選択が望ましいでしょう。

また、相続税の支払いや老朽化した建物の建て替えなど、まとまった資金が必要な人も売却を検討すべきです。不動産の価値が高いうちに売却し、必要な資金を確保することで、将来的な費用負担を軽減できます。特に築年数が経過した物件では、大規模修繕や設備更新などの費用がかかるため、これらの支出が困難な場合は売却を視野に入れる必要があります。

4. 自宅の賃貸と売却の収益シミュレーション

自宅の賃貸と売却の収益シミュレーション

以下の物件をモデルケースとして、賃貸と売却それぞれの収益をシミュレーションしてみます。

  • エリア:東京墨田区
  • 建物タイプ:マンション
  • 購入価格:7,000万円
  • 駅徒歩10分
  • 築10年(新築で購入)
  • 3LDK(70㎡)
  • 住宅ローン完済

シミュレーションに出てくる、収益算出に必要な費用項目や計算方法を参考にしてみてください。

4-1. 賃貸する場合

収入は、年間の家賃収入(賃料×12ヶ月)から、各支出を差し引くことで試算します。東京都墨田区の3LDKの相場から、家賃20万円(月額)を設定します。賃貸運営にかかる項目とそれぞれの費用目安は、以下のとおりです。

収入:家賃:240万円(20万円×12)

支出

  • 維持修繕費:12万円
  • 管理費:15万円(年間)
  • 火災保険料 7万円(年間)
  • 固定資産税、都市計画税 15万円
  • 管理委託料  12万円

これらを計算すると、以下のように年間の収入を算出できます。

240万円-(12万円+15万円+7万円+15万円+12万円)=179万円

賃貸経営をした場合の収益は「179万円×賃貸を行う年数」になります。ただし、維持管理費や固定資産税、修繕費などは物件ごとによって差が出るため、あくまで目安です

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4-2. 売却する場合

物件の売却予想額は、不動産会社が行う無料査定や類似物件の価格相場が参考になります。仮に物件の売却価格を3,500万円とした場合のおおよその手取り金額を算出します。売却にかかる費用項目と目安金額は、以下のとおりです。

  • 仲介手数料:(3,500万円×3%+6万円)+消費税10%=122万1,000円
  • 印紙税:1万円(軽減措置あり)
  • 抵当権抹消費用:15,000円
  • 住宅ローンの完済証明:3,000円
  • 譲渡所得税(売却益が出たときにかかる税金):売却価格が取得価格を下回っているので0円

これらを計算すると、以下のように年間の収入を算出できます。

3,500万円-(122万1,000円+1万円+1,5,000円+3,000円+0)=3,375万1,000円

最終的に手元に残る金額は、3,375万1,000円です。なお譲渡所得税額を算出する際には、建物の経年変化による資産価値の減少分を考慮した減価償却費を算出し、これを購入時の価格から差し引いた取得価格を把する必要があります。マイホームのような非事業用不動産の減価償却費の算出方法は、以下のとおりです。

減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数

木造住宅の場合、耐用年数は33年であり償却率が0.031です。上記の計算式に当てはめると、7,000万円×0.9×0.031×10年=1,953万円となります。
本シミュレーションは売却価格が、取得時の価格を下回っているため、減価償却費を計算しても譲渡所得税がかからないということです。

賃貸価格も売却価格も、自宅の状態や周辺環境によって金額が異なります。しかしシミュレーションしてみることで、おおよその収支の目安が把握できるでしょう。

5.自宅を売却して賃貸人として住む方法「リースバック」

自宅を売却して賃貸人として住む方法「リースバック」

リースバックとは所有している不動産を売却し、その後賃借人として継続して居住できる仕組みです。リースバックを活用することで、まとまった資金を調達できる だけではなく、住み慣れた場所での生活を維持できます。引っ越し自体が必要ないため、手間も時間・費用もかかりません。将来、買い戻すことも可能です。

また、固定資産税や修繕費といった所有者としての金銭的負担から解放されることも大きなメリットです。ただし、これまで所有者だった立場から賃借人に変わることで、新たに家賃の支払いが必要になります。また、将来的な家賃の値上げリスク契約期間に制限があることが多く(2~3年以内)、買い戻す場合も売却額より高くなることもあります。

さらに、所有権を失うことで老後の居住選択肢がなくなり、不動産価値上昇の恩恵を受けられなくなることも考慮すべきポイントです。このような特徴から、リースバックは一時的に資金が必要な場合にメリットを感じられますが、賃貸で活用したほうが将来的な選択肢を残せる点で優位性があるでしょう。

6.自宅を賃貸か売却、迷ったら家は売らない方がいい!3つの理由

自宅を賃貸か売却、迷ったら家は売らない方がいい!3つの理由

自宅を賃貸か売却で迷った場合、おすすめなのは賃貸です。その理由は、以下の3つです。

  • 一度手放すと買い戻すのが難しい
  • 不動産価値が上がる可能性がある
  • 結論を出すまで家賃収入を確保できる

6-1. 一度手放すと買い戻すのが難しい

不動産は一度売却すると、同じような物件を再び取得することが難しいです不動産は基本的に一点物であり、全く同じ物件は存在しないからです。仮に所有していた物件を買い戻そうとしても、人気のあるエリアや希少性が高い立地の場合は、ほかにも買い手が現れる可能性が高く、売り出し価格が高額になることがあります。

さらに、所有者が内装のリフォームや設備の更新を行っていて、住んでいたときと間取りなども変わっている可能性もあります。そのため、将来的な利用可能性がわずかでもある場合は、売却せずに資産として保有し続けるのがおすすめです

6-2. 不動産価値が上がる可能性がある

全国の不動産価格指数は2012年以降、戸建てもマンションも継続的な上昇傾向を示しています
特に2024年7月から9月の3ヶ月間においても、不動産総合指数は上昇を続けており、この傾向は今後も続くと予測されています。

不動産価値が高まると、比例して賃料相場の上昇にもつながるため、売却を急ぐのではなく、賃貸活用による長期的な資産形成を検討してみるのがおすすめです

6-3. 結論を出すまで家賃収入を確保できる

判断に迷う場合でも、とりあえず手放さずに賃貸住宅にしておくことで、その期間の家賃収入を確保して、じっくり考える期間に充てられます。「一度貸したら退去してもらうのは難しい」という考えもありますが、定期借家契約または一時使用賃貸借契約を選択することで、退去の期日を指定することが可能です。

これにより一時的に賃貸運用を通じて収入を得ながら、売却するかどうかの最終的な判断を慎重に検討できます。また、将来的に売却が望ましいと判断した場合でも、それまでの賃貸期間中は安定した収入を確保できます

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7. まとめ

自宅の活用方法で迷う場合は、焦って売却するのではなく、まずは賃貸を検討してみましょう。一度手放すと再取得が困難であり、所有し続けることで将来的な不動産価値の上昇も期待できます。このような点を考慮すると、賃貸活用による安定収入を確保しながら、市場動向や自身のライフプランの変化に対応することが重要です。必要に応じて賃貸管理会社の活用や定期借家契約の締結などの選択肢を検討しながら、最適な活用方法を見出していくことをおすすめします

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この記事の執筆者

平田 翔

ハウスメーカーにて建売住宅販売と土地仕入れ・土地調査の業務を経験。現在は、SEOやコラムなど、不動産を中心に様々なジャンルのライターとして活動中。「宅地建物取引士」の資格と実務経験を活かして、不動産関連の記事は300記事以上を執筆。これまでの執筆案件は「土地売買」「不動産売却に関わる税金」「借地権」「地主と借地人」「共有持分」「リゾート会員権」など。

カテゴリ: 賃貸管理 関連記事

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