日本で不動産を所有している場合、海外赴任になっても日本国内に不動産を所有している限りは、固定資産税を納める義務があります。
赴任中も自宅を所有していたり、相続した不動産があったりする場合は、固定資産税を納付するために出国前に所定の手続きが必要です。
本記事では、海外赴任中に固定資産税を納付するために必要な手続きを解説します。
また、海外赴任中に自宅を賃貸して家賃収入を得ているなど、日本国内で給与以外の所得がある場合は確定申告が必要です。こちらについては「6. 家を貸して家賃収入がある場合は確定申告が必要」でお伝えします。
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目次
1. 持ち家の固定資産税は海外赴任中も支払いが必要
国内に居住していれば、年に1回4~6月の間に納税通知書によって固定資産税額が通知され、これに基づいて納付します。
しかし、海外赴任中の固定資産税の支払いには、出国前に納税管理人の選任手続きが必要です 。手続きについては「2. 海外赴任中に固定資産税を支払うための手続き」で解説します。
そもそも「固定資産税」や「都市計画税」はどんなものか、下記でおさらいしましょう。
1-1. 固定資産税とは
土地や建物の所有者に対して課せられる地方税です。土地や建物が所在する市町村に納税します。東京都23区(特別区)は、区ではなく都に納税します。
固定資産税額は、固定資産の評価額をもとに決定された課税標準額に税率を掛け合わせて算出します。標準税率は1.4%ですが、市町村は条例によって異なる税率を定めることが可能です。
固定資産税評価額=課税標準額×1.4%(標準税率)
1-2. 都市計画税とは
固定資産税とあわせて納付する税金として、都市計画税があります。
市街化区域内の土地や建物が対象となり、税率は固定資産税の課税標準額に税率を掛け合わせて算出します。税率は市町村が条例で定められますが、0.3%を超える税率とすることはできません。
固定資産税評価額=課税標準額×0.3%(最高税率)
2. 海外赴任中に固定資産税を支払うための手続き
![海外赴任中に固定資産税を支払うための手続き](https://www.tenrusu.jp/wp-content/uploads/2025/02/news227_img_02-1024x534.webp)
海外赴任中に固定資産税を支払うために必要な、赴任前~赴任中の支払いまでの一連の流れを紹介します。全体を把握し、手続き漏れ等がないように準備しましょう。
2-1. 出国前に納税管理人の選任を行う
海外赴任中に固定資産税を支払うためには、納税管理人を選任しなければなりません。出国前に所定の物件所在地の役所で届出が必要となります。
納税管理人の選任について、詳細は「3. 海外赴任の際は納税管理人の選任が必要」で解説します。
2-2. 納税通知書が納税管理人に送付される
選任された納税管理人に対して納税通知書が送付されます。
納税管理人を指定していない場合、納税通知書が送付されないために納税ができず、ペナルティが課される場合があります。期限内に納付できれば問題ありませんが、期限後に納付する場合は延滞金が加算されます。「5. 海外赴任中に納税しなかったらどうなる?」にて詳細を紹介しています。
なお、ペナルティは納税者に科されますので、納税管理人はしっかりと連絡ができる人を選ぶことをおすすめします。
2-3. 納税通知書に記載の納税額を納付する
納税通知書に記載の納税額を任意の決済方法にて納付します。
納税通知書の送付先は納税管理人となりますが、支払いは本人から直接行うことができる自治体もあります。決済方法は自治体によって異なるため、納税先の自治体のホームページや窓口で確認しましょう。
3. 海外赴任の際の納税管理人の選任の手続き
3-1. 納税管理人とは
納税管理人は国外に居住している納税者(非居住者)に代わり、確定申告書の提出や税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取り等、納税義務を果たします。
ただし、万が一納税が遅れ、財産の差し押さえが発生しても、納税管理人には連帯して納付する義務はありません。
1年以上の海外赴任は非居住者に該当するため、納税管理人を選任しなければなりません。
1年未満の場合は、納税管理人は不要です。
納税管理人は国内居住者であればよく、個人法人は問いません。
3-3. 納税管理人の選任には届出が必要
納税管理人の選任と解任にはそれぞれ届出が必要です。選任は必ず出国前に届出ましょう。
多くの市区町村では同市区町村内に居住しているかどうかで申請方法が異なります。同市区町村内の居住者であれば「納税管理人申告書」、居住者でなければ「納税管理人承認申請書」を提出します。
提出先は固定資産税の対象となる土地や建物など不動産の所在する市町村です。納税者の居住地と不動産の所在地が異なる場合は注意が必要です。なお、東京都23区においては、土地・家屋・償却資産の所在する区にある都税事務所への届出となります。
納税管理人は先方の承諾が必要です。納税通知書等の重要な書類の送付先にもなりますので、承諾を得られないまま勝手に提出することのないよう、早めに準備しましょう。
4. 海外赴任中に固定資産税を口座振替で支払うことは可能?
![海外赴任中に固定資産税を口座振替で支払うことは可能?](https://www.tenrusu.jp/wp-content/uploads/2025/02/news227_img_03-1024x510.webp)
自治体によって異なりますが、海外赴任中の納税方法として、口座振替を推奨している自治体もあります。
固定資産税の支払い方法は、納付書のほかに口座振替やクレジットカードなどの選択肢があります。海外赴任中は金融機関等の窓口に出向くことができないため、納付書での納税ができません。選任された納税管理人が支払うことも可能ですが、口座振替やクレジットカードなどの方法で本人から直接支払うことができる自治体も多くあります。
例えば鶴ヶ島市では、海外転出後も引き続き同じ口座を利用して口座振替可能なことが明記されています。また、京都市では口座振替の利用を推奨するケースとして海外赴任が紹介されています。ただし、これらの場合も納税管理人の選任は必要です。
【市税の口座振替(自動払込)】市税の納付は便利・安全・確実な口座振替(自動払込)をご利用ください [京都市]
支払い方法は各自治体によって異なりますので、納税先の自治体窓口にてご確認ください。
5. 海外赴任中に納税しなかったらどうなる?
5-1. 延滞金が加算される
納付期限までに固定資産税を納付しなかった場合、納付期限の翌日から延滞金が加算されます。延滞金計算割合は次の通りです。自治体によっては、これより低い場合もあります。
納付期限の翌日から1ヶ月以内:年7.3%が上限
期限の翌日から、1か月を経過した日の翌日以降:年14.6%が上限
5-2. 督促状が送付される
納付期限までに納付されない場合、督促状が送られます。
納税管理人の選任をしていない場合は、督促状が送付されていることに気づくことができない可能性が高くなります。
地方税法にて、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、滞納している人の「財産を差し押えなければならない」と規定されているので、督促状を受け取った場合は速やかに納付しましょう。
5-3. 滞納処分が開始される
督促状が送付された後も納付されない場合は、財産の差押えが行われます。その後公売等によって換価され、納税額に充当されます。納税額が公売で売却された価格よりも低い場合は、残金は納税者に返還されます。
金銭的価値があり、換価処分により税に充てることが可能なものはすべて差押えの対象となります。
6. 家を貸して家賃収入がある場合は確定申告が必要
![家を貸して家賃収入がある場合は確定申告が必要](https://www.tenrusu.jp/wp-content/uploads/2025/02/news227_img_04-1024x683.webp)
海外赴任中に自宅を貸し出して家賃収入を得ている場合には、別途所得税の確定申告が必要です。
この時も非居住者であるために、納税管理人の選任が必要です。所得税は国税のため、固定資産税の納税管理人の届出とは別に、所轄の税務署に納税管理人の選任の手続きを行う必要があります。固定資産税の納税管理人同様、国内居住者であればよく、個人法人は問われません。
なお、確定申告の書類作成を代わりに行うことは、原則として税理士のみが可能です。書類作成まで依頼したい場合は、費用が発生しても税理士に頼みましょう。税理士以外が確定申告の書類作成を代わりに行うと、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される場合があります。
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海外赴任中に空き家となっている自宅は、転勤中の自宅を貸し出すリロケーションで、有効活用できます。家賃収入を得られることはもちろん、入居者が生活することによって、日常的に手入れされるほか、居住していることで空き巣や放火などの犯罪を抑制できます。
家賃収入を得ることで確定申告が必要になるため、手間に感じる人もいるかもしれません。しかし、リロケーションに強い会社であれば、転貸契約を用いてリロケーション会社によって源泉徴収がなされる契約としている場合があります。この場合は確定申告をしなくても、問題ありません。ただし、経費などを踏まえると多く納税していることが多いため、払いすぎた税金を取り戻すために確定申告することをおすすめします。
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